オロチ×アルビノ紅白透明鱗 F1
このメダカは、1月13日にヤフオクで落札できた、オロチ×アルビノ紅白透明鱗のF1である。
この交配をされたのは、“風雅”の発見者であり、それを遺伝させられた、命名者である青森県在住の對馬義人氏である。
最近の對馬氏の出品物では、“風雅”かぐや姫アルビノ(ブドウ目)ひかりヒレ長や“凛音(りんね)”飛白、かぐや姫光アルビノ(ブドウ目)などが人気が高いのだが、その中にあった「オロチ×アルビノ紅白透明鱗のF1」が私には非常に魅力的に感じられた。
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/location2767
こちらで對馬氏のヤフオクの出品魚が確認できる。
昨年から、福岡県朝倉市在住の上村氏の作られた“卑弥呼”が注目を集めているのだが、それを作るためには、長年、對馬氏が作り続けておられるかぐや姫とそのヒレ長系統は大切な存在で、それに気づいている人は、對馬氏の出品魚をチェックされているようである。
私もその一人で、對馬氏の出品魚はいつもチェックしているのだが、その時に目に入ったのが、この「オロチ×アルビノ紅白透明鱗のF1」であった。
この魚そのものの色合いについて、興味を惹かれた訳ではなく、次世代で必ずアルビノが出てくる、そのアルビノ個体の姿を想像するととても楽しくなるからである。
アルビノと普通眼の交配では、F1は全て普通眼となる。
アルビノaa×普通眼AAを交配したF1は全てAaとなり、アルビノのヘテロになる。ヘテロとは対立遺伝子の両方を有するもののことを言い、アルビノの場合、普通眼が顕性(優性)ホモのAA、アルビノ眼が潜性(劣性)ホモのaaとして遺伝子を表現し、F1は、両親からそれぞれ一つずつをもらって、Aaと表現され、顕性と潜性の両方を有することでヘテロと呼んでいる。
このF1同士を交配すると、AA:Aa:aaは1:2:1で出現してくる。AAは普通眼そのもの、Aaはアルビノヘテロで普通眼表現、aaはアルビノとなる。
見た目には、普通眼とアルビノが3:1で出現してくる。100匹のF2を得たとすれば、75匹が普通眼、25匹がアルビノとなる。
そのため、F1そのものは、アルビノの交配系統を作るために意義があるのだが、見た目には重要性はあまりない。このF1同士から採卵すれば、卵の段階で、普通眼とアルビノは判断できるのである。
異品種交配すると、この琥珀のような“黄金”と呼ばれていたような色合いの個体がよく出てくる。古くから、“黄金”と呼ばれていたメダカはいたのだが、単に、異品種交配による途中段階であった個体も多く含まれていた。「きれいな“黄金”は維持が難しい…」というような記述も見たことがあるが、単に異品種交配の途中段階だという認識が10年以上前にはあまり語られていなかった。
その写真はまた後日ということにして、
そのF1でも、種親として使った“オロチ”も“アルビノ透明鱗紅白”も純粋な系統(100%同じ表現のものが出てくる系統)ではないので、それぞれの特徴の現し方が異なる。“オロチ”も“アルビノ透明鱗紅白”も透明鱗性を持っているので、エラぶたが透ける個体が多いが、“オロチ”には透明鱗ではない普通鱗の血統もあるので、エラぶたが透けない、透明鱗ヘテロも同時に出現してくる。
そして、“アルビノ透明鱗紅白”の透明鱗性を強く現す個体も見られる。
“オロチ”の黒さと“アルビノ透明鱗紅白”の透明鱗がせめぎ合っているような表現は、一匹、一匹見ていて飽きない。
“オロチ”との交配系統に関しては、これまでも、神奈川県川崎市在住の中里良則氏が進めた“オロチ・プロジェクト”で多くの個体を見せて頂いていた。
https://piscesbook.com/archives/2107
https://piscesbook.com/archives/2321
https://piscesbook.com/archives/2937
https://piscesbook.com/archives/2969
https://piscesbook.com/archives/5949
https://piscesbook.com/archives/6050
https://piscesbook.com/archives/6180
https://piscesbook.com/archives/6434
https://piscesbook.com/archives/6497
https://piscesbook.com/archives/6505
“オロチ・プロジェクト”の過去記事は12まであるのだが、ご興味のある方は是非!
この對馬氏の“アルビノ透明鱗紅白”交配は、アルビノの血統を持ち、透明鱗血統も持っているので、中里氏の“オロチ・プロジェクト”とは交配が異なり、しかもアルビノがどのような色柄表現を見せるか?次世代以降の表現が本当に楽しみなのである。
皆さんも、ヤフオクなどで人気品種だけに注目するのではなく、こういった大きなポテンシャルを秘めたメダカを探してみてはいかがだろう?