神奈川県川崎市在住の中里良則氏が進めている、オロチと他品種との交配について、時々、こちらで紹介しているのだが、“オロチ”プロジェクト 5で作られた“オロチ”ラメは多くの人に注目されたようだ。
今回、紹介するのは、今年、大人気だった非透明鱗三色あけぼのの♀とオロチの交配によるF2である。
あけぼのは、岡山県笠岡市在住の小寺氏作出の非透明鱗三色で、朱赤色の美しさが見事な非透明鱗三色である。
そのあけぼのとオロチを交配したF2をズラッと見ていただくことにしよう。
基調色は乳白色で黒ブチを持った個体である。
この3個体は朱赤色の基調色に黒ブチを持った個体である。この黒ブチを持っている個体をF3を作るためにチョイスするべきであろう。
白体色の個体である。
こちらも白体色である。
白に写真では見えにくいが黒ブチを持った光体形の個体である。この光体形はあけぼのからは出てこないので、オロチ由来ということになる。
同時に出て来た黒褐色の光体形のメスである。
幹之メダカはF2になれば、当然、非透明鱗からは出てくるものである。
こちらは青体色の幹之メダカである。背面の体外光は弱いが、間違いなく幹之メダカである。
こちらはいわゆるノーマルな感じのブラックメダカである。
この3個体は楊貴妃メダカのような朱赤基調の個体。でも、じっくりと見ると、幹之メダカ由来のラメ光沢やヒレの外縁のグアニンによる青白い光沢が見える。
基調色は青メダカだが、じっくりと体表を見ると色素胞が大きめなところが見えてくる。面白いというか、これがどのように遺伝するのか?見てみたい気もするのだが、非透明鱗三色とオロチの交配によって作りたいメダカのイメージからは、かけ離れており、種親候補からはハネるべき個体ということになる。
いわゆる茶メダカ。これは多くの交配で出てくるもので、先祖返りした表現である。
褐色味が強くなっている黒系のメダカ。オロチ由来の血が明瞭に現れた1匹と言える。
ちょっと面白い表現を見せている個体。次期種親候補としては「選ぶべきか?」悩むところだが、残しておいても良さそうである。
このプロジェクトのメダカを、中里さんはF3まで繁殖させられ、そのバラけ方を観察した後、全て廃棄!
その理由は「面白いメダカを固定できそうだとは思ったが、あと2年以上はかかると思ったんで、この交配は中止することにした」と言われる。
ここでは、やはり黒ブチを持った個体のみでF3を採るのが無難なのだが、ブチ遺伝子はB’で、ブチを持たない個体の中にはBB’のヘテロ個体が多く隠れ潜んでおり、そこだけで種親選びをしてはいけないかもしれない。
中里さんが中止した系統なので、少しでも継続していきたいところで、10匹ほどの種親を選抜して、採卵していくことにした。
F3でどのようになるか?楽しみである。
なお、ここで紹介したメダカたちは、生まれてから一度も太陽光を浴びていない個体で、水槽内飼育でも明瞭な黒ブチを見せる。この部分から、B’にもオロチ由来の黒が濃い形質が乗っていることが今回わかった。オロチ遺伝子の面白さをまた一つ知ることが出来た!