オモダカの仲間とゲンゴロウ

水生昆虫の撮影に没頭していたのは、もう5年前のことになる。

こちらは本ゲンゴロウと呼ばれる、ゲンゴロウである。減少した水生昆虫の代表種であるが、この種類の撮影をしようと一生懸命になっていた時、見よう見まねで繁殖に挑んだ時、実際に自分でも簡単に出来た時に、「これって誰でも出来る!だからこそ、全国各地の小中学校でも、地元のゲンゴロウを保護する意味でも、その方法をもっと広めていかなければ!」と思ったのである。

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こちらは交尾するゲンゴロウである。普通に飼育していれば、容易に水槽内でも交尾する姿を観察できる。水槽で普通に飼育できて、餌には魚類の肉片を与え、その残餌が水を汚さないように、定期的な水換えをしていれば、ゲンゴロウを長期飼育できることを撮影しながら実感した。

ゲンゴロウの繁殖に必要なのは、産卵床となるオモダカなどの水生植物である。

ゲンゴロウを飼いながら、クワイの芋を入手し、素焼きの植木鉢で栽培したのである。

こちらは水田で栽培されるクワイSagittaria sagittifolia var. edulisは、塊茎を食用にするもので、中国から伝来したとされる。

このように新葉がしっかりと生長してきたところで、ゲンゴロウのペアを屋外の容器に入れ、飛んで逃げていかないように網をかけて様子を見たのである。

クワイの茎にゲンゴロウが齧った跡を見つけたら、そのクワイを鉢ごと別の容器に入れて置いたところ、出てきたのが、このゲンゴロウの幼虫である。

こちらはその幼虫を一匹ずつ大きめのプリンカップを利用して飼育、毎日、魚類の肉片を与え、毎日、しっかりと水換えしていれば、終令幼虫になるのである。

ここまで大きくなったところで、陸地を用意し、そこで蛹化させるのである。
羽化で失敗しないように、一匹ずつの終令幼虫にプラケースを用意して、蛹になりやすい土をブレンドすれば問題ない。

実際にゲンゴロウの繁殖をやってみると、本当に興味深いし、意外に容易に出来ることを知ったのである。

まだ寒く、ゲンゴロウの繁殖の時期ではないのだが、もし、ゲンゴロウの繁殖を楽しんでみようと思ったなら、来月ぐらいにはクワイの種芋を入手しておくと良いだろう。

この水生昆虫の飼育をして見て、実際にフィールドに出かけ、ゲンゴロウ類を採集した場所に通ううちに、その周辺の水草や抽水植物の豊富さに気づいたのである。

この『水生昆虫観察図鑑』は非常に好評を頂いているのだが、この本をまとめてみて、次のテーマである『日本の水草・水生植物図鑑』が見えたのである。

これは休耕田に群生するヘラオモダカSagittaria canaliculatum。日本全国の湖沼や湿地、水田などに自生しており、根茎は有毒で、利尿、止渇、強心薬としても利用される。

栃木県で見つけたやや細長い葉をもつヘラオモダカ。本種にはホソバヘラオモダカなどの変種も知られている。写真の種類がこれにあたるかは不明だが、明らかに上の写真のものとはタイプが異なる。

サジオモダカAlisma plantago-aquaticaは、本州中部以北の湿地や水田などに自生するが、最近ではあまり見られなくなっている。利尿、糖尿などの漢方薬としても 使用され、栽培も行われている。

オモダカSagittaria sagittifoliaは、日本全国の湿地や水田、休耕田などに自生する一般種である。芽吹いたばかりでは葉の形態は矢じり状ではなく、成長につれて変化する。

『日本の水草・水生植物図鑑』は今年中にはまとめるつもりでいるのだが、5月になれば、また今年の新たな水草探索シーズンがやってくる。

皆さんも水田雑草や湖沼の水生植物に気を止めてみてはいかがだろう?そこに水生昆虫がいたなら、その周辺は自然度の高い環境なのである。

そういう視点で水田地帯や湖沼群を見て歩けることって、かなり贅沢なことなのである。

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