メダカの卵、稚仔魚 3 ブラインシュリンプ
メダカの稚仔魚を育て上げる。これは、メダカ飼育者にとっての永遠のテーマである。
観賞魚の飼育に「これでいい!」というゴールはなく、去年より今年、今年より来年、各飼育者が経験を積みながら、良いものは取り入れていきながら、少しずつでも、飼育するメダカをより良くする飼育法を体得していく、そこが観賞魚を飼育する楽しさであり、面白さなのである。
こちらが、いつでも飼育者が孵化させたい時に孵化させることが出来る、ブラインシュリンプである。
このブラインシュリンプについては、以前、
こちらで詳しく紹介させて頂いた。
孵化に必要なのは、ブラインシュリンプの乾燥卵、ペットボトルなどの孵化用の用器、エアーストーンとエアーポンプ、食塩だけである。
ブラインシュリンプの乾燥卵はどこででも購入できるが、良い乾燥卵を入手されるようにして頂きたい。
http://www.sun-inet.or.jp/~tokai/
『東海グッピー』は小分けでも良質の乾燥卵を入手できるところとして、お勧めしたい。
ブラインシュリンプを孵化させるためには、2〜2.5%の塩水が必要で、
塩➗(水➕塩)の計算式で孵化用器の水量に合わせて食塩を必要量計ると良い。多少の塩分濃度の差は大きな問題にはならないので、目分量を自分で体得することである。
計算式は塩➗水ではないので、そこは間違わないようにしたい。「塩➗塩水」と中学の時に覚えたことがある人も少なくないだろう。
孵化させる乾燥卵を取り、塩と共に水に溶かすだけである。
1リットル当たり、1〜1.5gが目安であるが、多少、多めでも構わない。ただ、多過ぎると孵化率が落ちるので注意が必要である。
それを底に卵が溜まらない程度のやや強めのエアーレーション、水温は26〜28℃を適温としておけば、24時間後には孵化するのである。もう一つ重要なのが光で、暗いところで孵化を試みるとやはり孵化率が低下するので、朝陽や蛍光灯の光をしっかりと当てるようにすると良い。
24時間後、孵化した幼生は、エアーレーションを止めると、底の方に集まり、孵化後の卵の殻は水面に浮く。この底に貯まったところでこの幼生だけをエアーチューブで吸い出すなどして、給餌用にするのである。
メダカの稚魚に与える量はこれも経験的に、少しずつ与えながら、自分なりの適量を掴んでもらうのが良いだろう。
多めに孵化させたブラインシュリンプ幼生をどうするか?と言えば、そのままにしておくと、たとえエアーレーションしていても、すぐに次の脱皮をしてしまい、やがては餓死してしまうのである。
そのため、ガラス容器などに取って、冷蔵庫で保管しておけば、仮死状態にしておくことが出来るので、翌日も与えることが出来る。
塩水に乾燥卵を入れただけで、一回、ブラインシュリンプ幼生に脱皮させてしまえば、それだけ栄養価は落ちるし、メダカの稚魚の口に楽々入る大きさの幼生は餌も食べずにいるのだから、すぐに餓死してしまうということを知っておいて頂きたい。
また、冷凍ではなく、冷蔵保存することも忘れないで頂きたい。
稚魚たちは、ブラインシュリンプ幼生を給餌すると、他のどんな餌よりも追いかけていって食べ、しかもお腹いっぱいに食べるのである。
「人工飼料だけでも育てられる」という方もおられるだろうが、ゾウリムシにしても、ブラインシュリンプ幼生にしても、与えた経験をして、メダカの稚仔魚の成長率、生残率を実感して頂きたい。以前、「自分はブラインシュリンプは使わない」と何故か決めつけていた人に出会ったことがあるのだが、人工飼料だけで育てた方が、ブラインシュリンプを与えるより良い点があるのなら理解しようと思うかもしれないが、全くそういったものではなく、「人工飼料だけで育つから」という抽象的な理由であった。
こういった餌を取り入れることで、稚仔魚の成長は早まるし、何より、体の幅、そして体高が、人工飼料だけの細い稚仔魚とは比べものにならないのである。もちろん、人工飼料を併用していくことも良い方法である。「朝はゾウリムシやブラインシュリンプ、夕方は人工飼料」など各自でメニューを決めてやってみてもらいたい。
これまで人工飼料を与え過ぎ、水質を悪化させておられた方も、このゾウリムシとブラインシュリンプ幼生を与えることで、飛躍的に生残率を上げられるはずである。一度、水質を悪化させた経験を持つ稚仔魚は、水換えをして、飼育環境を良くしても、その後もポツポツと落ちてしまうように、体に大きなダメージを持たせてしまうのである。
ゾウリムシは孵化後の3〜5日間、その後は一週間から10日ほどブラインシュリンプを与える…それで育った稚仔魚の姿を実感してもらいたい。ブラインシュリンプは極端に言えば、三日間ほど与えるだけでも全然違うし、毎日、やらなくても、一日毎でも構わないのである。
どんな魚を育てるにしても「初期餌料は大切だ!」ということを頭に入れておいて頂きたい。
「新しい餌を与えてみる」、やってみることで、飼育力が上がるものなのである。
こんにちは。
画像の稚魚達いい子達ですが3色メダカの子達でしょうか?
3色の子であれば有望ですね。
羨ましいです。
はい、岡山県の京深さんが系統繁殖されている“烏城三色”の幼魚たちです。