中里氏の作り続ける“松井ヒレ長ブラックダイヤ”
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このブログで中里良則氏の作られる“松井ヒレ長ブラックダイヤ”を紹介させて頂いたところ、注目度が高く、もう少し、詳しく紹介しておくことにした。
この“松井ヒレ長ブラックダイヤ”は、中里氏作出の“ブラックダイヤ”に『栗原養魚場』の栗原氏が送られた“松井ヒレ長黒蜂”を交配されたことからヒレ長化が計られた系統である。
通常、普通ビレと松井ヒレ長を交配したF1は全て、普通ビレで、ヒレ長はF2から出てくる。その出現率は20%程度が普通である。その20%程度の中には、“ブラックダイヤ”側のものと、“黒蜂”側のものが混在する。確率的には10%が“松井ヒレ長ブラックダイヤ”の元親候補となる。
中里氏の場合、採卵数が多く、育て上げる稚魚数も多いため、1000匹のF2を育てれば、100匹は“松井ヒレ長ブラックダイヤ”の元親候補となるところが大きなアドバンテージになっている。
しかし、ブラック系統の欠点でもある尾筒の細い個体が出てくるため、中里氏は少しでも尾筒の太いものを選んで、交配を続けられたのである。
これが2019年2月に撮影した“松井ヒレ長ブラックダイヤ”である。これは黒さもしっかりしていて、ラメ光沢も“ブラックダイヤ”のものを見せていたのだが、この段階では中里氏はリリースされなかった。「より完成度を高めて」のリリースに時間をかけられたのである。
そして2020年の段階でここまでしっかりとした“松井ヒレ長ブラックダイヤ”にされたのである。ただ、まだ中里氏を満足させるレベルではないと言われるのである。
この“松井ヒレ長ブラックダイヤ2019-12”は、よく見ると、ヒレの形状にいくつかのパターンがあることが見てとれた。
こちらは“松井ヒレ長”と“スワロー”の両者の特徴を持った個体である。
こちらは、“幹之ロングフィン”と呼ばれる、背ビレとしりビレの軟条が櫛状に伸長する特徴を見せる個体である。
光体形の“松井ヒレ長ブラックダイヤ”も出てきており、この個体は“サムライ”と呼ばれる背ビレの一部が欠損する特徴を持った個体である。
光体形の“松井ヒレ長ブラックダイヤ”で、先に胸ビレが伸長している個体である。
今年、リリースされるであろう光体形の“松井ヒレ長ブラックダイヤ”だが、今後もヒレの形状の違いを追求できる面白さも秘めているのである。
“松井ヒレ長”と“スワロー”の両者の特徴を持った、いわゆる“バタフライ”タイプへともっていければかなり見応えのある系統となるだろう。一つ一つの特徴を見抜き、その特徴を伸ばしていくことで、より優雅な姿の“松井ヒレ長ブラックダイヤ”を楽しめるだろう。