“青蝶”こと行田スペシャル
埼玉県の『行田淡水魚』作出の“ヒレ長ロングフィンGS(行田スペシャル)”
松井ヒレ長幹之とロングフィン幹之との交配で作出された品種である。
松井ヒレ長の幹之は各ヒレが長く見応えある姿をしているが、そこにさらにロングフィン幹之を交配することで、各ヒレの軟条が突出する要因が加えられ、さらに優雅な姿へと進化した。
横から見るとヒレの伸び具合もよくわかり、水槽での飼育でも楽しめる。熱帯魚にも負けない優美な泳ぐ姿を見ることができる。
成長と共にヒレも大きく伸び、フルアダルトではちょっとヒレが重そうにも思えるくらい見事な姿になる。当初、紹介された“青蝶”の呼び名でも親しまれている品種である。
改良メダカの楽しみのひとつでもあるが、こうした品種をさらに交配して、バリエーションが産み出されてもいる。
浜松の『猫飯』では、松井ヒレ長タイプをヒカリ体形にした“半月”を作出しており、『猫飯』の代名詞とも言える“緑光”をはじめ、多くの“半月”が作出され、“青蝶”もその中に含まれていた。
『猫飯』繁殖の若い“緑光半月”
ヒカリ体形は、脊椎骨の曲がりなどがでやすく、しっかりとした体形の作出は厳しい選別淘汰など時間や手間がかかる。“半月”も当初は、満足いく個体は1/100以下とも言える確率だったそうだが、地道な作業の結果、最近では見る機会は格段に増えている。
こちらは埼玉県『うなとろふぁ~む』の繁殖個体
“青蝶半月”の色味にも改良を加えたいと、“緑光半月”の黒みのある個体を交配して累代を進めているものになる。
ロングフィン血統であるヒレの軟条の伸び具合から、熱帯魚のベタの品種にある同じ表現を持つクラウンテールの名を使い、“青蝶クラウンテール”と『うなとろふぁ~む』では呼んでいる。
『緑光』からの影響か、体後半部には独特な体内光も確認できた。このメダカも横からも上からも楽しめる特徴を持っている。
それぞれのブリーダーがオリジナルの姿を大切にしながらも、独自の改良を進めている改良メダカの世界。自分の魚を作り出す作業を経験することをお勧めしたい。