中里良則氏の“プラチナ幹之リアルロングフィン”からの変異 「イリディセント」
神奈川県川崎市在住の中里良則氏が、幹之メダカを始めてから、現在の世代は63世代目、それまで一切、他の幹之を混ぜないで、選抜交配だけで毎回数千匹の幹之系統を作り続けてこられた。
幹之メダカから“プラチナ幹之”へと系統換えされてから18世代目になるのだが、2020年6月22日に、その中で各ヒレが伸長したオス2匹を発見されたものが遺伝することを確認して、リリースされたのが、“S幹之リアルロングフィン”である。“S幹之リアルロングフィン”と“プラチナ幹之”を交配されたものが”プラチナ幹之リアルロングフィン”であるが、遺伝子的には異なるものではなく、あくまでも中里さんの累代系統の中での表現の違いを追求されたものである。
その”プラチナ幹之リアルロングフィン”の累代繁殖を続けられ、今回、F14で、背ビレ、しりビレ、そして尾ビレにまでグアニン表現がまとまった数で出てきたのである。
『Azuma medaka』の田中拓也氏が作り、命名された“モルフォ亜種”の血統は全く入らずに、このような似た表現になり、表現としては同じかもしれないが、中里さんのこの表現は、虹色素胞のIridophoresを参考にした言葉、「イリディセント」表現と呼んで、その後を見ていくことにした。略して、イリディTypeがどのように遺伝していくか?楽しみである。
中里さんの累代繁殖させてきた幹之からはF63、プラチナ幹之にされてからF18、リアルロングフィンになってからF14と、途方もない時間で変化を重ねてきたのである。累代繁殖が進み、近交系になると、こういう変化が起こりやすくなるのだろう。もちろん、日々の観察があって、こう言った変化を見つけられる。
この「イリディセント」表現を使って、新たな掛け合わせをすることで、改良メダカの交配はまた楽しさを増すのは間違いない。
リアルロングフィンは顕性遺伝(優性遺伝)するので、リアルロングフィンがF1で出現してくる。そして、同時に、ヘテロと思われている普通ビレの個体も出てくる。そこでこの「イリディセント」表現がどのように遺伝するか?掛け合わせのアイディアは無限である。