メダカ三県巡り

この日は3件のメダカ取材。早朝に出発し、一路茨城県へと向かった。
少し前に田んぼへと向かったのと似たようなコース、休憩したSAも同じだったりしたものだ。
まず到着したのは愛好家鈴木氏の飼育場。

「メダカの飼育容器は発泡が一番」と、ハウス内は発泡がメインに並べられていた。
鈴木さんはまさに職人といった愛好家で、ひとつの品種をとことんまで突き詰めている方であった。
それがこの“紅華錦”。読みは“べにかにしき”

透明鱗三色の走りである“紅桜”を10年以上こだわって累代選別され、この見事な色合いに仕上げられていた。血統を重視され、ご自分のメダカの名前に“紅”の字を入れられており、想いの強さが伝わってきたものであった。
「来るなら5年前に来てほしかったなぁ、今より全然すごい姿にできてたのに」と笑われていた。今の姿でも見惚れていたのに、これよりすごいとはどんなものだったのか想いを巡らせたものだった。
産卵床には様々な面からホテイソウが一番とおっしゃり、ホテイソウの浮いた容器には今シーズンのフ化した仔魚がとんでもない数で見られた。

ここから弱肉強食というか、体質の弱い魚は自然と淘汰され、強い魚が残っていく。
育たない個体や弱い個体は残らなくてよいというスタイルである。商売ならなるべく数を残すのだろうが、やはりそこはこだわりなのだろう。
表の青水容器に無造作に入れた網を上げてみればこの通り

体形もがっしりとしており、メスはもういつでも産卵できるくらいにできあがっていた。
「今は非透明鱗が人気だから」とおっしゃっていたが、透明鱗三色の美しさを改めて見せていただいた。琥珀からこの色合いまで持ってくる選別飼育とかけた時間を考えると気が遠くなる思いであった。ついつい人気の品種や新しい品種に惹かれて飼う種類を増やしてしまったりもするが、こうしてひとつの品種にこだわることの大切さとその姿勢を教えていただけたものだった。

次に向かうは栃木県。
昨年もお邪魔させていただいた小山メダカセンターである。10年前にメダカのネットショップを始められた老舗と言える存在である。1年ぶりの来訪となったが、酒主さんご兄弟にこの日も温かく迎えていただいた。
あいかわらず綺麗に見やすく陳列されたハウス内

メダカだけでなく、水鉢などで飼う用の抽水植物なども販売されている。
小山メダカセンターは琥珀や銀河といった古くからいる基本品種もしっかりと大切に維持されながら、独自の交配も熱心に行われている。昨年もそうしたメダカたちを見せていただいたのだが、今年もまた新たな姿を見ることができた。
“紅怒黒”。読みは“べにどくろ”

楊貴妃透明鱗ヒカリ“紅”とオーロラ系との選抜交配で作出された。顔つきや黒の入りから髑髏(どくろ)をイメージされ、鬼怒川の怒をど読みされて名付けられた。昨年見せていただいた“鬼怒虎”もそうだが、酒主さんは地元鬼怒川の名にこだわられていた。ただ、「この呼び名だと女性受けしないのでは?」とこちらが心配し、皆で笑っていたものだった。
同じ組み合わせからの派生で白体色

こちらはどういう呼称にするか?絶賛募集中とか

他にも楊貴妃透明鱗から累代繁殖させている紅白の“更紗メダカ”なども

お客さん相手ではあるが、ご自分たちもこうした様々な交配作出を楽しんでおられているのだろう。もちろん現場では思ったようにいかないなど楽しいというよりもご苦労の方が大きいのだろうが、他とは違うオリジナルのメダカを見られるのはやはり楽しい。また次にお邪魔するのが楽しみであった。

そして最後は千葉県へ。
この日の締めはめだか夢や
店主の馬場さんとは展示会へお邪魔したり、生麦海水魚センターでの品評会でお会いしていたが、柏市に店舗をオープンさせてからは始めての来訪であった。
実はこの日、朝から「茨城を何時にでて、30分くらいで小山に着けるから何時に終わって、遅めの昼食べて柏へ向かえばOK!」といった具合に目論んでいたのだが、どうしても各所で話が盛り上がり、予定は未定といった状況。千葉へ向かい出したのも予定よりずいぶんと遅れており、昼も食べずに急ぎ向かったのだが、柏市中心に近づくにつれ道路も激混み。陽はどんどんと傾いていく。メダカの撮影は夜だろうがなんだろうが撮ることはできるが、風景などはやはり明るいうちに撮りたい。時計と残りの距離を気にしながら向かったものだった。
閉店時間を過ぎてお待たせしてしまったが、なんとか陽のあるうちに到着

ハウス内が店舗になっており、各サイズの容器に様々なメダカが泳いでいた。オリジナルの産卵床や自家繁殖のミジンコなども販売されていた。
「これなんていいでしょ」とまず出していただいたのは琥珀メダカ

上見でなく横見用にと出していただいたその姿は、なるほど自信作とわかるものであった。
古くからの品種である琥珀だが、最近ではしっかりとした体形の個体を探すのに苦労する存在になってしまった。特にヒカリ体形では脊椎骨の曲がりが普通と言えるほど多い。そんな中、こうした存在を見せていただき、基本品種を大切にするという意図もしっかりと伝わったものであった。
こちらは黄金松井ヒレ長

黄金体色も人気のある色合いで、松井ヒレ長化され、横見で楽しめる品種にされていた。
涼しげな美しさのあるオーロラ幹之を見せていただいた後に「これなんかもどうでしょう」とでてきたのはオーロラ幹之の黄色体色

派手さはないが、白バックに映え、しっかり育つ頃には青みと黄色みの美しい姿が楽しめそうであった。

各地からメダカを仕入れると共にご自分でもメダカを殖やしている馬場さん。
飼育設備もまだまだ発展途中のようで、さらなる進化が楽しみであった。翌日には鑑賞メダカ愛好会の展示会というお忙しいタイミングでお時間をいただき、ありがたい限りであった。

三者三様、濃い充実した一日を過ごさせていただき、皆さんに感謝しきりであった。

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