“紅華錦(べにかにしき)”にその経験と情熱を注ぐ、鈴木健二氏の作る透明鱗三色
遠征をほぼ終えて、昨日は、朝の5時にcolと共に横浜に出発!『メダカ百華第5号』の関東近県の作り手の取材日となった。
先日、hiro48jpのハンドルネームの川戸さんの見事な“カブキ”を紹介させて頂いたが、関東で、もう一人、とても気になっていた透明鱗三色、ハウスネーム“紅華錦(べにかにしき)”をヤフオク出品されておられるrfctc337のハンドルネームの鈴木健二さんにお会いしたいとずっと思っていたのである。
これが“紅華錦(べにかにしき)”である。
透明鱗三色と今は読んでいるが、琥珀透明鱗ブチ(琥珀透明鱗錦)が出来上がった頃の品種名である。
群馬県在住の出島喜美朗氏が作出、“紅桜®︎”の呼称で発表された当時、この“紅桜®︎”を見て衝撃を受けた方は全国各地におられたのである。
鈴木さんの透明鱗三色は、出島さんのところに出向いて選ばれた10匹の“紅桜®︎”から始められ、10年になる透明鱗三色である。鈴木さんのメダカ飼育歴は15年ほどになり、白メダカ、青メダカから黄金、琥珀、楊貴妃と改良メダカの歴史が始まる当初から銘品種を飼ってこられた方である。
琥珀透明鱗ブチ(琥珀透明鱗錦)から透明鱗三色を繁殖させてこられた方はお解りかと思うが、どうしても琥珀透明鱗が分離してきてしまうため、なかなか三色と言えるものを固めることが難しかったのである。
それをここまで見事な透明鱗三色にされ、それを維持してこられた鈴木さん、それだけ、“紅桜®︎”血統の“紅華錦(べにかにしき)”に情熱と愛情を注ぎ、経験値を蓄積されてこられたのである。
ホテイアオイ(ホテイソウ)を使われて採卵される鈴木さん、「産卵床でホテイソウは絶対に譲れない」そうで、「メダカにとって最高の産卵床だし、メダカを傷めない、そして浄化能力の高い」と鈴木さん、「それにプラスして花も綺麗で楽しめるし」と言われるのである。
鈴木さんの採卵している容器である。ここには15〜20匹でのグループ採卵が行われていた。
「三色の色、柄は人間がどうこうできるものではない」と鈴木さん、この言葉は、“雲州三色”を作っておられる野尻さんからもお聞きした言葉である。
こちらがジャンボダライを利用した鈴木さんの孵化槽である。ザッと見ても5000匹以上の孵化仔魚が泳いでいた。
「これを全部育てと世話をすることはない」と鈴木さん、「餌をやって、小さくて弱っていく仔魚はそのまま自然に淘汰されるので構わない。そういった虚弱な仔魚を育てようとは思わない」そうだが、それでもこれだけの数と質が残っているのだから、鈴木流の飼育方法で何も問題がないのである。
どれも魅力を持った透明鱗三色、これが“紅華錦(べにかにしき)”なのである。
鈴木さんがヤフオクに出品される時の画像をお見せしておこう。
この写真で出品されておられる。写真はオーバー目で、撮影容器もところどころ剥げがあり、鈴木さんの“紅華錦(べにかにしき)”の魅力が伝わりきっていないと前々から感じていたのである。
ここで、勘違いしないでいただきたいのは、鈴木さんの“紅華錦(べにかにしき)”の宣伝をしている訳ではないことで、“紅桜®︎”血統一筋で現在がある“紅華錦(べにかにしき)”から、透明鱗三色の魅力を楽しみたい方に、「出品写真から伝わらない魅力」を自分が書きたかっただけである。
出品されるメダカの彩度を上げて美しく見せたりする出品魚は多々あるが、逆に、それだけで見過ごしては、こういった魅力的な透明鱗三色を飼育する機会を逸してしまうことが残念だと思うからである。
“あけぼの”や“雲州三色”によって非透明鱗三色の朱赤、黒の明瞭さが発揮され、三色と言えば非透明鱗三色の方が注目を浴びるが、透明鱗三色と非透明鱗三色は全くの別物、この“紅華錦(べにかにしき)”は透明鱗三色そのものの魅力を楽しめる系統だと言える。
鈴木さんとお話しさせて頂いていると時間がどれだけあっても足りない、それだけ鈴木さんのメダカ飼育の経験、工夫の蓄積はすごいのである。
餌と飼育水の話し、直感的な選別の話し…それらは、もっともっと魅力的な“紅華錦(べにかにしき)”の写真と共に、『メダカ百華第5号』にて掲載予定である。