熱帯魚飼育の面白さ 1

一昨日、東京都杉並区在住の黒岩公輔さんのお宅を訪問させて頂いた。

他誌の取材での撮影だったが、約20年振りにディスカスの撮影をした(苦笑)

撮り終わって、「なんか昔、撮っていた写真と代わり映えしない(苦笑)」と自分で思ったりした。

このディスカスという魚に出会ったことは、私にとって、大きな転機となったことは間違いない。

高校生の時に輸入されていた、レッドロイヤルブルー・ディスカスの前身である“カラーディスカス”が欲しくて、タイへ行ったことが、始まりである。「なぜ、日本で買わなかったのか?」と言えば、当時はディスカスの人気が高まっている最中で、輸入されたディスカスの90〜95%は輸入された当日にショップに買われていってしまい、残った魚を買うには高価だったからである。

何度、輸入当日に輸入元に行っても、すぐに売れていってしまう“カラーディスカス”、それがどうしても欲しくて、輸入されてきた発泡スチロールの箱の横に書いてあった、タイの輸出業者のところに行こうと思ったのである。

当時、JALやANAで羽田空港(まだ成田空港はなかった)→バンコックは15万円以上したため、自分が選んだのはパキスタン航空(苦笑)。
だって、往復で4万円ぐらいだったんで!選択の余地はなかった!そのフライトは直行便ではなく、マニラ経由(驚)!そう、だからフライト時間も長かったのである。

バンコックに到着してタクシーに乗る。その当時はバンコックのタクシードライバーは道を知らない人もいて、「トロンパイ、リオサイ、リオクワー、ユット」という「真っ直ぐ、左折、右折、停まって」の言葉を最初に覚えて、サンデーマーケットまで行ったことが懐かしい。

その旅行でディスカスブリーダーと知り合うことができ、入手できたのが、10cmはあった、レッドロイヤルブルー・ディスカス!しかも日本では考えられないお値段!

そのディスカスを5匹購入して、日本に持ち帰ったのがディスカス飼育の始まりとなった。

その後、ディスカスのことを知りたくて、ディスカスの写真を撮りたくて、香港、台湾、ドイツ、アメリカ、そして原種ディスカスを見るためにブラジルのマナウスへと行き、マレーシアのペナン島、最後はベトナムでディスカスの撮影は自分の中で完結してしまったのである。

実際は、ベトナムに行く前に、ドイツで、シュミット・フォッケ博士にお会いできた至宝の時間で気持ちは終わっていたのかもしれない。

このディスカスという魚を通じて、多くの海外の知人、友人が出来たこと、そして、「興味を持った魚は現地に行って見るのが一番!」という取材方法も、このディスカスを追求していたことが自分の基礎となったのである。

アジアアロワナの本を作るために、インドネシアやマレーシアで最高のレッドアロワナとゴールデンアロワナを見たこと、アフリカンシクリッドもドイツ、東南アジアで…と今やっているメダカやらんちゅうも同様の方法だったりするのである。

「好きなら、とことん追究する!」これが自分のモットーとなっているのである。

そして、三日前に久々に熱帯魚を購入した。レインボースネークヘッドとチャンナ・sp.“ベンガルオレンジ”(ガクアかどうかは再検討してみるためにここではsp.扱いとした)である。

このcolの作ったプロファイルExtraの『スネークヘッド』の初版が完売したため、来年、作り直しをすることになったのである。

これは未使用の2010年撮影のレインボースネークヘッドだが、今回、真剣にレインボースネークヘッドの面白い写真を撮ろうと思ったのである。

購入したレインボースネークヘッドは計6匹、チャンナ・sp.“ベンガルオレンジ”は計5匹である。群れで飼育したいというのではなく、出来れば、繁殖写真を狙ってのこの数である。

購入した後、自分が気にしたのは、彼らの餌である。冷凍赤虫、クリル、そして、釣り用のミミズ、メダカ、小型ヌマエビ類…
同時に輸入されてきたスネークヘッドは、全国各地のショップを経て、飼育者の手に渡っていくのだが、「飼い始めたからには、早く大きくしながら、その美しさをどうやって最大限に表現するか?」が飼育のテーマになるのはどんな魚でも同様である。

この「誰よりも美しい個体に仕上げたい!」という飼育者の熱意、情熱が飼育する魚を美しくするのである。

どんな魚でも飼育する基本は、水換えと餌やりである。水質については、飼育する魚種の生息地の水質データを探して知ることから始まり、餌やりについては、「どんな餌をどれぐらいの量を食べるのか?」その限界値を最初に体得することが大切である。

この「限界までやってみる」経験が飼育者各人の飼育力を上げるのである。「これぐらいの餌の量でいいか!」、「水換えはなるべく減らそう!」という思いや管理方法では飼育される魚が可哀想だし、そこから本当の楽しみを見出すことも難しいのである。

レインボースネークヘッド、チャンナ・sp.“ベンガルオレンジ”の2種類を飼育するために、購入してきた釣り餌用のミミズを腐葉土の中で育成したり、メダカや小型ヌマエビに色揚げ効果のある餌を食べさせた後にスネークヘッドに与えてみる…飼育者がやろうと思えば、良い方法だと思えば、それを実践してみるのみである。

「生物を飼育する」のは、「その生物にとって最良、最善の環境を整える」ことを追求することなのである。「本気で魚を飼ってみる!」また自分の中で熱帯魚飼育熱が上がり始めてきた!

最近、熱帯魚飼育熱が下がってきているのだが、そういった、飼育者が「面白そうだ!楽しそうだ!」という部分の情報が少なくなってきているのも一つの要因だと思っている。「よし!自分もやってみよう!」という効果的な餌なり、飼育環境なりの情報をここで少しずつ紹介していくことができれば!?と思っている。

「この2種類のスネークヘッドが繁殖できたとしたら!?」それが日常管理が正解だった答えになるのである。

その答えを導き出すために、これから毎日、2種類のスネークヘッドと真剣に向き合っていくつもりである。

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