『坂出和彦氏宅』訪問

 “三色ラメ幹之”の作り手、岡山県の坂出和彦氏宅にお邪魔した。昨年秋、冬越し前のメダカ達を見せていただいた依頼の訪問である。昨年は今までで一番卵を採られたそうで、どの容器にも数十単位でしっかりとした三色ラメたちが泳いでいたのを覚えている。「現状に満足せず、一年一年少しでも進歩するようにしたいですね」と、冬眠への準備へ入るメダカたちを見つめておられた坂出さんであった。 

 坂出さんのご自宅前に広がる飼育容器群

 ハウスなどは使っておらず、ヨシズをかける程度で、雨水も入りっぱなしの環境である。容器数はあるが、大水量の容器はなく、手頃なサイズが中心になっている。

 もちろん、ハウスも建てようと思えばすぐにできるが、あえてこの環境にしている坂出さんであった。「一番簡単な環境でやっている様子を見てもらえば、どんな人でも難しく感じず、メダカ作りをやってみようと思ってもらえるでしょ」と、これからメダカに取り組む愛好家のことを意識され、「三色は難しいと言われるけど、まずはやってみなくちゃ」と飼育する人が増えることを望まれている。
 三色の表現は千差万別で、1匹として同じ色柄はいないとも言える。「色柄の好みはひとそれぞれ。私が一番よいと思う個体も、別の人だと他のが一番と思うこともあるでしょう」と、基本の表現は守りつつも、多くの人に楽しんでもらえる姿を目標とされておられる。
 昨年はコロナの影響もあり、イベントなどが開催されなかったことが残念だとされていた。坂出さんのメダカ作りは、販売よりもできたメダカを人に見てもらい、「きれい」と感動してもらいたい想いが込められている。展示会などがないことでお披露目の機会がなかったが、親しくしている『夢中めだか』のオークションに協力したことで、ご自分が一番と思う個体でないのが評価されたり、重視していなかったダルマ体形の人気が高いことなど、改めてメダカのニーズの広さを認識されたそうだ。

 冬の厳しい寒さを経験した坂出さんのメダカたちは、しっかりと色の揚がった姿を見せてくれた。

 “三色ラメ幹之”の群れ。朱赤に濃い墨がくっきりと入る姿が目に飛び込んでくる。ここから今年の種親が選ばれていくのだが、ぱっと見ただけでもどれもこれもがよく見えてしまった。


 
 こちらは坂出さんの進める交配系

“夜桜”×黒幹之のF1に、さらに“夜桜”を交配されており、現在、F5まで累代されている。当初は“黒い夜桜”を目標とされていたが、三色柄がでてきたことで方向性を定められたそうだ。昨秋にも見ていたのだが、冬を経験し、さらに色が揚がっていた。


 新たな非透明鱗三色とも言え、しっかりとした白地に入る朱赤と墨が魅力的であった。これもこの先のまとまりが楽しみであった。

 「数は採ることはできます。けど、そこから自分が本当に気に入るのは少ない」とおっしゃる坂出さん。気に入った個体ができても、より良くより美しくと、さらに良くすることを意識されている。長年取り組んでおられる坂出さんですらこうなのだから、多くの人がそう簡単にはよい三色を作ることはできないのもわかるだろう。ただ、「でもやってみてほしい。できた時の喜びを感じて欲しい。やってみなきゃわからないのだから」と、まずは飼ってみることを薦める坂出さんであった。

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