ライヤープラティを飼う。プラティでのコンテストって出来ないだろうか?

ライヤープラティを飼い始めた。約7年振り?という感じだが、そもそも、グッピーやプラティなど卵胎生メダカの飼育から、観賞魚の世界に入った自分にとって、やはり懐かしいというか、魅力を感じる魚種なのである。

今回は、奈良県在住の愛魚家の方からお譲り頂いたのだが、いわゆるブドウ眼アルビノ、ルチノーアルビノの血統を持った個体と、それを既に交配された種魚を飼育できるありがたい環境を頂いたのである。

こちらは今回、入手できたライヤープラティのオスである。グッピーのリボンタイプ同様、ライヤープラティのオスには交接能力はないので、ライヤープラティを殖やす場合、ライヤープラティのメスにノーマル体形のオスを交配して受精させていく方法をとることになる。

このライヤープラティが日本に入ってきたのは、2003年前後のことで、先日、記事にした『Guppy Base-Book』の著者である、故筒井良樹氏の元にハワイ在住の方が持参してことから始まる。

ライヤープラティはハワイ在住のフレッド・モリタ氏が作出された系統だと言われており、ドイツなどでも、ライヤープラティは存在しており、おそらく複数の愛好家がライヤーテールのソードテールを用いて、プラティ型に作ってきた系統が現在、楽しまれているものであろう。

以前、飼育していた頃はそれほど山ほど繁殖させて、当時あったYahooブログで愛好家を募り、普及を図ったことがある。しかし、ちょっと有り難みがない10匹、20匹とそれぞれの人にお送りしてしまったためか、あまり大事にされなかったのか、定着しなかった(大汗)

その後の熱帯魚の趣味性の低下は目を覆いたくなるもので、ホームセンターのインショップでの観賞魚店の出店が相次ぎ、通販大手が席巻し、年々、熱帯魚関連の路面店は閉店が相次ぎ、身近で熱帯魚を見られる環境が激変してしまった。

通販で飼育器具は買えても、熱帯魚などの生体は実際の姿を見ることなく通販で購入しても、その魚への愛情は、実際に見て入手した時に比べると浅いものになってしまうのは致し方のないことである。

当社では、熱帯魚関連の書籍を出版物を25年に渡って刊行してきたのだが、ここ数年は新刊を作ってこなかった。この『熱帯魚・水草3000種図鑑』は、二年前に売り切れた後、新たに作り直すことを中断している。

『熱帯魚・水草1400種図鑑』を刊行したのが27年前、その後、『熱帯魚・水草1500種図鑑』、『熱帯魚・水草2100種図鑑』、『熱帯魚・水草2700種図鑑』と掲載魚種を増やしながら、『熱帯魚・水草3000種図鑑』を6年前に刊行した当時から、熱帯魚業界に流通する魚種は年々、減り、多分、現在は熱帯魚と水草を合わせても1000種は流通していない状況である。

ホームセンターのインショップが悪いという訳ではないのだが、多くのホームセンター内の観賞魚コーナーでは、「欲しい!」と思う熱帯魚が泳いでいないのが現状である。

熱帯魚は飼い込むことで、美しさを増すもので、しっかりと給餌して育てられた熱帯魚を観賞魚店で見て、その体色の美しさに憧れて、「飼いたい!」と思って、飼育を始めるという当たり前の道筋が今の熱帯魚業界には相当、欠落しているのである。

ホームセンターやチェーン店では、販売を簡素化しようと、ビニール袋詰めの熱帯魚を「○匹 980円!」のような、販売意図が「売れればいい!」的な生体の扱いになっている様子もよく目にした。

水槽、フィルター、保温器具、底床、水草、蛍光灯、餌… 熱帯魚を飼育するためには不可欠な飼育器具がある。それを揃えたくなる意欲を削ぐような価格帯では、アピール出来ないことを業界内でやるようになってしまっては未来は暗かったのである。

熱帯魚から高級感はなくなり、たとえ飼育魚が病気になったとしても、「魚病薬の価格の方が高いから、新しい魚を購入した方が安上がり」のような考え方になってしまっては、飼育力を上げようとする熱帯魚の飼育者も育たないのである。

だからと言って、ここで愚痴のようなことを言っていても始まらない。

https://piscesbook.com/archives/16098

先日、グッピーについての記事をアップしたが、自分がこの仕事をするきっかけを作ってくれた熱帯魚の未来に向けて、「初心に帰る」でもないのが、グッピーと卵胎生メダカという、自分が初めて飼育したこの魚たちの魅力を少しずつ、しかし、SNSなどを使って、迅速に情報を提供していこうと思う。

その一つとして、ライヤープラティにもその一役を担って貰おうと思う。

こちらはルチノーアルビノのライヤープラティのメスである。

産仔の瞬間を撮ろうと粘ったのだが、プラティの産仔は一匹ずつの間隔が2〜15分と長く、瞬間を撮影することは今回は出来なかった(汗)

生まれてきたアルビノのプラティの稚魚たちである。産仔されてから一時間ほど経過した個体である。

石の陰などにいる個体は、メス親に食べられないように物陰に隠れている姿である。

プラティの場合、メスは産仔中も捕食抑制はほとんどかからず、稚魚を食べてしまうこともある。そのため、産仔用には、36cm水槽にウォータースプライトやタヌキモの仲間をふんだんに植え込んで、簡単に稚魚が食べられないようにした。

狭い容器ではそれだけ食べられてしまう稚魚の数が多くなる危険性が増すのである。そういったところに注意を払って、メス一匹だけでの産仔用水槽を用意することも、魚をより多く活かすために効果的だし、安定した広さの中で大切なメス親に安心して産仔させることにもつながる。

メダカもそうなのだが、品種を自分の許容範囲以上に入手して、稚魚を1リットルも水が入らないような容器で飼う感覚は、魚を飼っているのではなく、自己満足でメダカを過酷な環境に置いているだけで、「飼育している」とは言えないのである。メダカでも、「卵や針仔に良い環境を追求していけば、とても5リットル以下の容器で何とかしようとは思わないものである。

水草の陰で自由に泳ぎ始めた稚魚たちはすぐに餌を欲しがる。プラティの稚魚には孵化したてのブラインシュリンプが最適である。

毎日、ブラインシュリンプを少量ずつ孵化させるか?二日分を一度に孵化させて、翌日分をガラス容器などに入れて冷蔵保存するのも方法である。

昨日は、別のメスが産仔した。その個体は普通眼をしているのだが、ルチノーアルビノのヘテロ個体だったようで、48匹産仔した中に8匹のアルビノ個体がいた。

二匹のメスで合計80匹ほどの稚魚を得ることが出来たが、ライヤープラティは1/2の出現率で出てくる。80匹中40匹はライヤープラティになるはずで、そのうち、メスは半分として20匹、それが次世代のライヤープラティへとつながる。

この譲り受けた系統のインブリーディングをすることもやっていくつもりだが、その20匹のライヤープラティのメスにシンガポールから輸入されてくる様々な体色のプラティを交配して、別系統のライヤープラティを作るのも楽しみである。

ただし、アルビノもそれぞれで作っていこうとすれば、水槽が何本あっても足りなくなる(汗)

それを同時期で進めていくには、やはり「ライヤープラティを飼いたい、ライヤープラティを美しくしたい」という思いを持った人との共同作業が一番である。

日本では、プラティは安価で強健な熱帯魚の一種として扱われているのだが、「新しい系統を作る」という思いで楽しめば、難しくはないが、奥の深い魚であることが判るだろう。

このライヤープラティの稚魚たちから、いずれのライヤープラティのコンテストを5人、10人から始められれば、楽しそうである。その礎作りのために、頑張って、稚魚を育てますかね!

2 thoughts on “ライヤープラティを飼う。プラティでのコンテストって出来ないだろうか?

  1. 岡本 より:

    最近、商売抜きで熱帯魚に回帰したい意識が芽生え、習性の面白い熱帯魚であるアフリカンシクリッドの
    貝殻を住みかにするオケラータスを飼育し始めたり産卵育児行動が海のタツノオトシゴと同じヨウジウオの
    一種のアフリカンパイプフィッシュを探してみたりしています。商売してた人間が言うのもおこがましいですが
    希少性やコレクション性ばかり追い求めるよりも個々の個体の習性や美を追い求めるような意識変化が
    大事なような気がします。

  2. あいのこ より:

    自分は当時メダカ館に通い詰めてやっとの思いで分けて頂きましたよね  かれこれ 13年前位ですかね  現在は維持できていませんよね  それでも  4〜5年は維持していましたが、 お年玉に手を出して、メタリカに持っていき 色んな事が重なり入院3ヶ月で 自滅しました  未だ 暇になりそうにない毎日なので  もう少し先になりますが余裕があったら やりたいですよね  サイトは  第三世代のライヤテールプラティですね この子達は 大きくなる個体でした。最大で10センチは超えましたよね 8センチ位のは ザラでした  餌は おとひめ を 使ってました  

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