多くの可能性を秘める“北斗”
行田淡水魚の小暮 武氏により作出された“北斗”
小暮さんが交配されていた青色スケルトンメダカから得られたメダカで、その起源は古く、まだ幹之メダカが世に出回る前に、現在の体内光と呼ばれる表現の個体を元に、腹膜や骨に黒い色素が乗るように選別作業が進められた。累代が進み、腹膜や体後半部の体内が黒っぽくなり、さらに体内に銀鱗のように輝く虹色素胞を持つことから、冬の夜空に輝く北斗七星をイメージして2011年に命名された。小暮さんの交配開始から命名まで3年の年月を費やされたそうである。
脊椎骨に沿って黒い筋が入ることから「骨黒」などとも呼ばれたこともあった。
その体の独特な黒みは、白い容器に入れて見るとさらによくわかる。
入る容器の色合いによって、まったく異なる印象になるのも本品種の面白いところである。
黒みの薄い個体では、腹膜に体内光とはまた少し違った色合いを見せることもある。
現在では、さらに累代が進められたことで、より黒みが増した姿になっている。その特徴は水槽の横見でも楽しめる。
この姿を見ていると、昨年から注目度の高まっている黒百式や緑光といった全身体内光系のメダカたちにつながるものが見えてくる。小暮さん曰く「“北斗”に体内光を持ったメダカを交配すると黒くなる」とのこと。“北斗”自体も累代により黒みが増しているのだが、交配することでさらにその特徴が強まると言われる。
全身体内光と呼ばれるメダカを見ていると、“北斗”を感じさせる黒色色素が見られる。そうした特徴を伸ばすことで、“黒百式”や“緑光”からの“鯖”など、様々な魅力的な品種が作出されている。“北斗”自体をさらに煮詰めるのもよいが、体内光を持つメダカとの交配を独自に進めてみるのも面白そうである。