駿河で田んぼ散策
毎年の恒例ともなっている駿河らんちゅう会の大会後に周辺の田んぼ周りの水草観察。
今年は台風が近づいていることもあり、帰りは早めに帰京する予定だったので、朝、会場入りする前にうろつくことにした。
いつもの午後の陽射しよりはマシだろうと考えていたのだが、それは甘かった。この後、台風が来るなどとは思えないよい天気である。残暑どころか、一時期の暑さが戻ってきており、午前8時前でも強い陽射しと暑さに汗が噴き出していた。
まず辿り着いた田んぼは、すでに金色の草原
品種による違いか、まだ青々とした稲の田んぼもあるのだが、すでに水は抜かれているところがほとんどであった。
水もなく、ひび割れた土からカエルが顔を出していた。まさか死んでる?とも思ったが、手を伸ばすと元気に逃げていった。
水がなければ、水草と出会うことも難しい。しばらく歩いていると、乾きかけた歩道際にコケのようなへばりつきを見つけた。
イチョウウキゴケの陸上形態である。
コケの仲間だが、水面に浮いて生育するが、水がなくなると陸上形態になる。準絶滅危惧種ではあるが、ひっそりと乾燥に耐えていた。
そしてやっと見つけたヒメミズワラビ
これも水のなくなった場所で一株のみ頑張っていた。数年前には大きな群落もあったのだが、そうした場所はなくなっていた。
あぜ道の周辺は水田雑草のポイントではあるのだが、どこも綺麗に管理されている。
お米作りをされている方からすれば邪魔者なので仕方がないのだが、これではつまらない。
やっと水が張ってあったと思えば
動いていたのはジャンボタニシことスクミリンゴガイである。
その上の稲には毒々しい色合いの卵が産み付けられており、相当数がいる。
横の水路では除草剤の影響か、アメリカザリガニが死屍累々と。
そんなザリガニの死骸を食べにジャンボタニシが集まっていた。薬にも強く悪食、さすがの要注意外来生物である。
さらに歩いていると、一際背の高い一群があった。
イネ科植物のジュズダマである。
子供の頃は近所にも生えており、この実を集めたりもした記憶がある。いまさらながら、東南アジア原産の植物だと知る。
田の際でよく目についた黄色い花
ヒレタゴボウである。花の下に翼状のヒレを持ち、根がゴボウのようなことから名付けられているが、アメリカミズキンバイの別名もある熱帯アメリカ原産の帰化植物である。
その周りには葉の付け根に壷状のピンクの花をつけたホソバヒメミソハギ
これも北米原産の帰化植物である。
ヒメミソハギは在来種だが、比べると全体的に小型で花も小さく目立たない。
結果として、水草や抽水植物はほとんど観察できず、帰化種ばかりに出会ったものであった。来年以降は新たな場所を開拓しないといけなそうだ。