岡山で溜め池観察
せっかく岡山に来たのだからと、以前にもガイド役を務めていただいた橋本さんに、今回も観察へ案内していただいた。
橋本さんとは、実は以前働いていた会社が同じという縁も。当時はほとんど被ることはなかったのだが、同時期に所属しており、それを知った時には世間の狭さを感じた。
岡山錦鱗会の会場から車で動くことほどなく、町中からすぐに山へ入ったと思ったら、
あっという間に溜め池が現れた。
橋本さんの通勤途中という場所で、町中から離れていない場所に、こうした環境があるということに驚かされる。ましてや通勤途中に寄ることができるのもすごい。
ジュンサイやヒシの群落がすぐに目に入った。
その周りは食虫植物のイヌタヌキモが埋めるようにあり、鮮やかな黄色の花がチラホラと見られた。
さらにそこに連なるようにあるのは浮き草の仲間であるサンショウモ。以前に、新潟の山奥の池で見たことはあったが、あるところではこんなにもあるのだと、少々呆れる思いであった。
この池ではトンボの仲間も十種類ほどが観察できるという。
ベニイトトンボやチョウトンボといった自分の地元ではなかなか見られない種が飛び交っていた。
ほど近い別の溜め池では、取水口が草で埋め尽くされていた。
上から覗き込むと、溜まっているのはすべてイヌタヌキモ。採ろうと思えば、ドラム缶いっぱいでも採れそうであった。
岸辺に近づいてみれば、浮遊植物のはずが地面から林立するように生えているようにも見えるところもあった。障害物などに絡みつくように繁茂しているのだろうか。
先に見た池とは違い、こちらではヒシやジュンサイの姿は見られない。目に付くのはほぼイヌタヌキモであった。離れていない池であるが、極端に植物相が違っていた。
そしてイヌタヌキモの間に青い光りがチラチラと見えた。
その正体はブルーギルであった。他にもオオクチバスの子供も泳いでおり、ここではトンボもあまり見られなかった。
さらに移動し、山の方へ。途中、昨年の西日本豪雨の被災地を通ったのだが、その状況の説明をお聞きしても、この場所が水没したとはとても想像できない広さであった。まだまだ修復中の建物や、更地になっている場所の多さは、被害の大きさを物語っていた。
山中の砂防堤上が溜め池のようになっていたが、その様子は絵に描いたような自然豊かな姿であった。
わざわざ植えた?と思えてしまうほど、ガマやカヤツリグサが葉を伸ばし、その下は様々な水草が絨毯のように生えそろっていた。
一区画を埋め尽くすのはイバラモである。
名前の通り、細かい棘が並ぶノコギリのような歯をしている。
逆側に目をやれば、そこはまた別の水草。
スブタの絨毯になっていた。計算されたように植え分けられており、自然の力を強く感じたものであった。
過去に数本生えているような環境を見て喜んでいたが、「こっちに来たら、ありがたみなくなりますよ」と言われていたものだが、納得の光景が広がっていた。こうした環境がいつまでも残っていて欲しいと願う。