暑さからメダカたちを守る方法 4 グリーンウォーター
メダカを飼育していると、飼育水中に植物プランクトンが自然発生し、飼育水が緑色になってくる。グリーンウォーター、青水と呼ばれる状態になる。
メダカの飼育者の中では、このグリーンウォーターに積極的にしようとする人もいるし、それを推奨するような記事もよく目にする。
多くの飼育容器を使うことが多いメダカ飼育の場合、どうしても水換えが遅れがちになり、給餌量も多いため、真夏なら新たにセットした飼育水でも数日後から少しずつ、植物プランクトンが増え、グリーンウォーターになっていく。
植物プランクトンは、メダカに与える餌の残りやメダカの排泄物から出るアンモニア由来の窒素態を栄養にして繁殖し、日々、濃さを増していくのである。
この植物プランクトンが水質を良くすると言われているが、確かに植物プランクトンが全くなく、薄く白濁りした飼育水に比べれば植物プランクトンによって窒素態の無害化に貢献する部分は間違いなくある。しかし、濃いグリーンウォーターになるということは、「飼育水が汚れている」からであることは間違いないのである。
グリーンウォーターも、「水底付近にいるメダカが見える範囲までの濃さ」を基準とされると良いだろう。
魚影が見えないぐらい濃いグリーンウォーターになっている時に最も恐いのは、雨天の翌日に晴天となり、水温が急上昇する時である。水温が激変によって植物プランクトンが一気に死滅することが多いのである。「見えなかったメダカが見えるようになった!」と喜ぶことではなく、そうなった時に放置すれば、植物プランクトンが死滅して水底に残骸が蓄積し、メダカにとっては堪え難い飼育水になるのである。こういった水はグリーンウォーターからやや黄ばんだ水色になる。「水変わり」とも呼ばれる現象だが、これはメダカにとってはかなりなダメージになる。
これから台風が日本付近に来るようになる季節なのだが、雨が降る前に魚影が見えないぐらい濃いグリーンウォーターの場合は出来るだけ薄くなるように、水換えすることが大切である。
台風が去った後は、「フェーン現象」と言われる状況が起こりやすく、無風で高温になることが多い。
雨の翌日に全ての魚影が見えないぐらい濃いグリーンウォーターを水換えすることが出来れば良いのだが、気温が高いこの時期では、水換えが遅れれば、メダカたちの死亡率は上がる。
「台風が来る」、「雨が降る」という天気予報を聞いたら、雨が降る前に魚影が見えないぐらい濃いグリーンウォーターになっている飼育水は先に水換えしておくことが大切である。
「グリーンウォーターの方が体色の色揚がりが良い」、「グリーンウォーターはメダカの針仔の餌になる」など、長所が強調されることがあるが、グリーンウォーターが針仔の餌として優れていることはないし、体色の色揚がりに関しても、多分に迷信的なところが多い。透明な飼育水で色を揚げることが出来ない訳でもないのである。
では、「何故、メダカの飼育にグリーンウォーターを推奨する記事が多いのか?」考えてみたのだが、販売側が「メダカはエアーレーションしなくても問題なく飼えますよ!」という販売するための妄想というか、お客さんを逃さないためのセールストークでしかないように思う。エアーレーションはするべきだし、エアーレーションをしているグリーンウォーターとしていないグリーンウォーターも厳密には性質が異なることも知っておいていただきたい。
それはメダカの強健性に頼っているだけで、「より良い飼育環境を作るためのアドバイスを怠っている」だけだと私は思っている。
水底が綺麗なグリーンウォーター、グリーンウォーターになり始めの薄い状態、そこを限度にしながら、その薄さを保つための給餌、水換えを実践していただきたい。グリーンウォーター内では、色が濃くなりながら、植物プランクトンが死滅した残骸も日々、溜まっていっている。「メダカが生きていれば良い水」ということではないことをしっかりと認識して頂きたい。
良好な水質を保つことが出来るようになれば、メダカたちは餌もしっかり食べるし、産卵もしっかりしてくれる。
餌をしっかり食べさせるためには、飼育水の状態を良好に保つ、これしかないのである。グリーンウォーターは抽象的な言い方になるが、「薄く、水底が見える程度の“薄青水”に保つ」これが出来れば、メダカたちの状態は間違いなく、良好である。
それを面倒がらずに楽しんでメダカに適した水作りをされることをお勧めしたい。