メダカの産卵床
メダカは産卵するとメスがお腹に卵をつけて泳ぎ回りながら、様々なものに卵を付けていく。産み付けるというよりも、引っかかったところにくっつくというイメージになる。そのため、飼育下では、メダカが卵を付けやすいような産卵床を用意して、そこに付けられた卵を回収するような方法が多く使われている。
台所用品などでも使われるナイロン不織布などの化学繊維は多く使われている。ざらざらとした質感で卵が引っかかりやすい材質で、市販品や愛好家のオリジナルの産卵床として多用されている。
人工物としてはアクリル毛糸などもよく使われる。
これもけばけばとした材質は卵がつきやすく、細かな糸が織り込まれていることから、その隙間でバクテリアが繁殖することで、水質の維持に役立つこともある。毛糸の束をそのまま小さな容器に入れ、ごくごく弱めにエアレーションをするとよく、体験してみると水の保ちの良さがわかる。
植物原料としては、シュロも昔からよく使われ、メーカーからの製品も数多くある。
円錐状になった製品では、内側にびっしりと卵が産み付けられており、トンネル状の形状だと、メダカは好んで産み付けるようである。シュロの繊維も細かく、それが何本も組合わさることで、卵が付きやすい。
生きた水草もよく使われる。金魚藻として売られるカボンバは、水槽飼育でも入れられる。
よく見ると、その葉にぶら下がる卵を見つけることができるだろう。親をうまく取り出せば、そのまま卵の成長を観察することもできる。
プカプカと浮かぶホテイソウを愛用する人も多い。引き上げてみると、
根元にびっしりと卵が産み付けられていた。ホテイソウは水質の浄化や日よけなどの役割もする。陽射しのよく当たる場所では、次々と子株を増やしていくが、増えたからといって野外の池や川に放つことをしてはいけない。
水槽で見てみると、根には細かなゴミのようなものがついており、そこの卵も同じようにゴミがついて見えるが、不思議とこの方がしっかりと育っていく。これは先の毛糸と同じで、ホテイソウの細かな根にバクテリアがつくことで、水質の浄化維持に役立っており、卵にとってもよい条件になっている。
メダカの産卵床としては、この他にも使えるものがあるだろう。いろいろなものを試してみて、自分なりの産卵床を作るのも楽しい作業である。