女雛の幼魚
さて、“女雛”である。その独特な柿色の体への入り方は、非常にバラエティに富む。作出者の垂水政治さんが発表された初期の個体が、頭が柿色の面被り模様だったことから、頭赤の姿の印象を多くの人の記憶に残したもので、その姿を目指す人も多い。ただ、実際には様々な姿の“女雛”がいる。そこで、“女雛”の作出者である垂水さんに様々な個体の写真を見ていただき、それらを“女雛”と判断されるかなどをお聞きした。
撮影した多くの個体を見ていただいたが、そのどれもが垂水さんが“女雛”を殖やされていた最中に見たことのある表現であるとのことであった。作出過程の段階で、多くのバリエーションが見られていたのであった。ただし、柿色が入ってこその“女雛”なので、どんなに小さくても、“女雛”としては柿色は入っていることが必須である。
垂水さんご自身が理想とする“女雛”は、「柿色の頭部で、体は黒く。そして柿色の際がくっきりと入る」とされていたが、「柿色の入り方の表現は、それぞれの人の好み」ともされ、表現の縛りはないとされていた。
そんなことを踏まえて、うちで殖えた幼魚たちを見てみる。
面被り模様っぽくはなっているが、色が揚がってくるかどうか??
頭に色は出ているが、これは部分的で終わりそうである。
体の半分以上色が乗っているのもいた。
これも体の大部分に色が乗る。頬に一際濃い部分があるので、他の所は濃くなるだろうか?
少しひね気味で小さい個体だが、全身柿色というかオレンジ
これも頭赤のような雰囲気もあるが、果たして色が揚がるかどうか?
頭には乗らなそうだが、体には柿色を持つ
一番、柿色が出ていた個体。範囲としては体半分より広いくらいか。しかし、ラメが多く出ていた。
“夜桜”表現。柿色は出そうにないのでこれではダメ。
これも“夜桜”表現。ラメは多いが、やはり柿色がないのでダメ。
これも柿色がない“夜桜”表現。ラメというより体外光が乗っていた。
親に使った“女雛”がラメを持っていた個体も入っていたためか、思ったよりもラメが表れていた。“夜桜”表現が出てくるのは、“女雛”とは兄弟姉妹の関係にあるから、しょうがない部分もある。全体的に見ると、柿色を持つ“女雛”と呼べるタイプと柿色を持たない“夜桜”タイプの割合は、六対四くらいで“女雛”タイプの数が微妙に勝った感じである。
自分も面被り模様が好きなのではあるが、満足いく姿はなかなか難しい。