垂水政治氏の進める、鱗血統、ヒレ光血統のメダカたち

2019年4月29日、2年振りに愛媛県西条市在住の垂水政治氏の飼育場を訪れた。昨年は7月上旬にお邪魔することにしていたのだが、西日本豪雨の真っ只中であったため、本州から四国に渡ることができずに断念した(汗)

垂水さんのメダカ界での存在感の大きさは改良メダカを飼っている方にとっては周知のことであろう。
「新たなメダカを作る」これが出来るメダカのスペシャリストは、実は多くはないのが現状である。「○○と△△を交配して…」新たな表現を作るということは誰もが出来る部分である。現在、知られているメダカの複数の品種を交配すれば、それなりのメダカは出来る。

垂水さんの場合、煌にしても、今回、紹介させて頂く“鱗血統(うろこけっとう)”にしても、即効、即興で考えたものではなく、3年前、いや5年前から、こういったメダカを作ろうという思いをお持ちだから出来るのである。これが出来るメダカの作り手は…現状では日本では10人いるか?いないか?かもしれない。

『メダカ百華 第5号』で紹介させて頂いた、垂水さんのヒレ光と鱗血統である。

『メダカ百華 第5号』を出版したのが昨年の8月、一年前に垂水さんがプロトタイプとして作っておられたメダカたちである。

ヒレ光に関しては皆さん、ご存知かと思うが、色が付きにくいヒレに幹之特有の輝青色の反射光を胸ビレ、腹ビレ、しりビレ、尾ビレ、背ビレに乗った個体のことの呼称である。

垂水さんの言われる“鱗血統”は、幹之血統の見せる背中線上の体外光のタイプ分けをしている呼称である。
ほぼベッタリと発色するのが通常の体外光で、“鱗血統”と呼ばれる外光は、鱗一枚一枚を輝かせるラメ光沢が連続して、並ぶタイプのもののことである。それについては、『メダカ百華 第5号』の91ページ、下段の写真3点を見てもらうと判りやすい。

虹色素胞がこの体外光を作り出していることは皆さんご存知かと思う。他の色素を大きく違うのは、黒、黄色素胞が光吸収性の色素胞に対して、虹色素胞は光反射性の色素胞である点である。色素胞の一種類であるが、色素は持っていない。色はないのである。

虹色素胞は、主としてグアニンからなる板状結晶(光反射小板;無色透明)が重なり合って存在している。 屈折率の高いプリン結晶体の重なりによって、鏡のような高い光反射性が出来ているのである。
その重なり方によって、ベッタリと現れる体外光と、ラメ光沢、“鱗血統”と呼ばれる光り方の違いが生まれるのである。この違いに関しては、注意深く観察していれば見えてくるもので、垂水さんは、ラメ光沢、“鱗血統”ならさらに体に広く外光を表現出来ることに早くから気づいておられたのである。

これまでにも、頭部全体が光る“鉄仮面(この呼称は最近はフルボディタイプにも使われ、混同されているが)”や体側が光る“横光”と呼ばれるものなどで、外光についてはよく観察をしている方もおられた。

それを年月をかけて作り上げようとされておられるのが垂水さんなのである。

新たに設置された垂水さんの二つ目のハウスである。

訪問させて頂いた時には、“鱗血統”とヒレ光タイプのメダカが多数泳いでいたのである。

“鱗血統”とヒレ光タイプは、同じグアニンの輝きを持ったメダカでありながら、別々に作られており、いずれはその二つを合致させる時が来るのだろうと思えた。

2019年春時点の“鱗血統”の上見である。ラメ光沢と体外光の中間的な表現と鱗一枚一枚を輝かせるラメ光沢が連続して並ぶ特徴の両方が見られた。

鱗一枚、一枚が輝き、その鱗の縁取りが見えている。この輝きを体側の左右に一枚ずつ乗せていけば、どんどん体の輝く面積が拡がっていく可能性が大きいのである。

今回の撮影では、水槽を持ち込んで、ヒレ光タイプのメダカを多数、撮影させて頂いた。ちょうど、幹之メダカで体外光、ヒレ光の系統を撮影していたので、興味深く見ながら撮影させて頂いた。

このヒレ光は、“鱗血統”を発展させることでも必要性がある。垂水さんは、「上見でも横見でも楽しめるメダカ」を作ることを一つの目標とされており、幹之との交配ではヒレに色が入らないことは、垂水氏自身の“黄桜”、非透明鱗三色の“赤兎錦”の前身を作っておられた時に経験されており、女雛と夜桜を分離、そしてそこからの煌作出など、特徴を集散させながら、メダカに表現されておられるのである。

「メダカの特徴を見つけて、それを加えていこう!」これが垂水さんのメダカ作りの基本姿勢なのである。

オーロラ系ロングフィン

非透明鱗の“赤兎錦”の前身と国富さんが作られていた“夢光”を垂水さんが5年ほど累代繁殖で維持していたものを交配して作られたメダカである。一周光としては完成しており、遺伝率もほぼ100%だと言われる。

そして、その“鱗血統”を持つヒレ光タイプをアルビノにした系統を現在、垂水さんは集中して殖やしておられる。
「光体形はしんどい、来年はもう光体形はやらないって書いておいてください!」と言われた垂水さんだが、光体形の持つ虹色素胞の多さを今後のメダカに移行させようと、より難しい方向をやらない垂水さんではないのである。

「もう一つ進化させたい!!」と力強く言われた垂水さん、この志しの強さ、情熱があるから、垂水さんは全国のメダカ愛好家から注目され続けておられるのである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です