メダカ愛好家宅訪問 2 萩田宏明氏の作るメダカたち
今回、訪れたのは静岡県浜松市在住の萩田宏明さん宅。『猫飯フェスタ』の出展者の常連のお一人である。
ご自宅前の庭に大小の容器がきっちりと並べられていた。
ハウスの形にはできないので、雨が降れば溢れてしまう状況だが、それぞれの容器に排水を促すスポンジがセットされており、対策がとられていた。また、鳥の来訪も危ない存在だそうで、取材時にもヒヨドリが近くに寄ってきていた。獣や鳥の存在は多くのメダカ愛好家にとって驚異であるだろう。
メダカの飼育歴は3年半ほどという萩田さん。会社の同僚がメダカを飼っていたことがきっかけで、飼育を薦められ、初めて飼ったメダカが透明鱗三色だったという。スタートする品種としては難しい品種であったが、「面白いように殖えたんです」と萩田さん、オス2匹メス4匹の元親から何の問題もなく二千匹ほど殖やされたそうである。それまでに魚の飼育経験はなく、その飼育センスに驚かされる話しであった。そしてその殖やしたメダカを友人が持っていく場所だったのが『猫飯』だったそうで、知人に『猫飯』の池谷氏を紹介されたそうだ。
黒系統のメダカがお好きだという萩田さんである。黒幹之を見た際に「格好いい」と思われたという。
萩田さんのオリジナルメダカ。黒体色のラメ幹之である黒飯に極ブラックを交配されたハウスネーム“黒飯KIWAME”、渋い美しさを見せ、横見でも魅力的なメダカであった。今後、さらに注目されるであろう一周光を代表とするヒレ光が魅力的なメダカになっていくことだろう。
三色ラメ
ラメに三色模様にと魅力的な個体がおり、出品用に多数選ばれていた。
紅白ラメ
こちらも数多くの個体がおり、仕分けを待たれていた。出品用の魚はどれも「これを出しちゃうの?」というメダカを惜しげもなく出されている感じであるが、順調に殖えているから、どんどん出さなければということもあるようであった。なんともうらやましい状況であるが、しっかりとした飼育や細かな観察が合ったからこその結果だろう。
オロチラメにブラックスワローを交配して作られたオロチラメスワロー。黒系統が得意な萩田さんらしいメダカの一つと言えるだろう。
青幹之半月(半月は光体形の松井ヒレ長) 光体形の頭光のタイプが目立っていた。
五式×紅薊の交配により進めておられるメダカ。取材時、2タイプに分けて採卵されておられ、この秋には萩田さんのオリジナル系統に仕上がっている可能性大である。
緑光
緑色の発色も美しい個体に仕上げておられた。
こちらは三色ラメ×白幹之(黒幹之から出たもの)。体外光を持った萩田さんのオリジナル系統と言える。
それぞれのメダカの小さな特徴も見逃さない研究熱心さもあり、初めて飼育した生き物でも、これだけの結果を出されていた。
「楽しく遊べればいいんです」と萩田さんはおっしゃっていたが、その純粋さが大切なことなのだとも思えた。
その細部にまで渡る観察、そして探究心の旺盛さが萩田さんの作るメダカに活かされているのだと感じた。