磯の可愛いのと怪獣と

今回の夜磯は風もほとんどなく、水面は観察日和であった。寒さはやはり本格的ではあったが、着いた時点ではそれなりの寒さは感じたものの、動き回っていると汗ばむくらいにはなるものである。海水温も思ったよりも低くなく、水中に手を入れていると温かく感じるくらいであった。かえって、濡れた手を外に出している方が冷えてくる。さすがに終わる頃には指先の感覚がなくなってきたものだった。

まず出迎えてくれたのはミミイカ

今シーズンの遭遇率はけっこう高い。体の大きさは6cm程度の小型のイカで、昼間は砂の中などに潜っており、夜になると活発に泳ぎ獲物を探す。名前の由来でもある体の横についた丸いヒレをはためかせるようにして泳ぐ様子は、見ていて可愛らしいものである。外套膜の中に発光器があり、ライトで照らしていると目まぐるしく模様が変わる。

タカノハダイの幼魚が寝ていた。

成魚になると30cmになるが、幼魚は繊細。大人になるとこの模様ももっとしっかりと濃く入る。寝ているのだろうが、ライトを当てるとすぐに逃げていく。安眠妨害といったとこだろう。

一際派手で目を引くミスガイ

ウミウシの仲間であるが、立派な貝殻を持ち、比較的原始的な存在とされる。名前の御簾(みす)はすだれのことで、貝殻の模様からきている。フリルのような軟体部を出して移動するが、この貝殻にこんなに入っているのか?と思わせるほど広がる。

お約束のダンゴウオ

石の上に饅頭がいるような愛嬌者。昔に比べると、やはり見る個体数は減っていると感じる。今回出会ったのは抱卵して、お腹をパンパンにしたメスであった。しっかり卵を産んで、また出会わせてほしいものである。

今シーズンの当たりといえば、このメリベウミウシ

今年は行く度にかなりの個体数に遭遇している。この時出会った個体は大きかった。伸び縮みするから微妙ではあるが、普通にしていても15cmは余裕であるほどであった。こんなのがウネウネしていると磯では怪獣みたいなものである。
本種の特徴は、頭巾のような頭部を広げて獲物を捕食すること。

ぐわーと頭を広げた直径は10cmほどもあるだろうか。下の石が透けて見えるほどに薄く広げている。これで水底にいる微小生物を食べる。

見ていると、掃除機のように吸い込みながら頭巾を縮めていくのがわかる。縁には触手が密生しており、これで獲物が逃げないようにしている。ただ、それほど素早い動きではないので、いくら口が大きく開いても、獲物は小さいものに限られるようだ。
この捕食行動は、じっと見ていても飽きないものである。

石の間から顔を出していたのはミミズハゼ

淡水が流れ込むような場所で見られる。全身を見せておくれと石をそっとどけてみたものの、瞬時に逃げられてしまった。砂に潜ったか、周りの石の間か、もう手遅れである。

おまけは紫汁

ごろごろといるタツナミガイ。気づかずに踏んでしまうこともしばしば。すると紫色の体液を出して警告してくる。けっこうな量を出すので、辺り一面が紫色に染まる。
波で洗われるのを待つか、早々にこちらが移動するしかないのであった。

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