“オロチ”プロジェクト 4

先日、アップした“オロチ”プロジェクト3は、かなりな反響を頂いた。奈良県在住の谷國昌博さんが作出されたオロチ、その特筆モノの黒さはそれだけでも十分に魅力的なのではあるが、やはり、それを分解させたくなると思う人種もいるのである(笑)。その人種の一人は自分だとして、そのオロチの血統を使って、新たに魅力的なメダカを作出しようという方が、神奈川県川崎市在住の中里良則さんなのである。

実は、“オロチ”プロジェクト3で紹介したオロチ体色でラメ光沢がある個体、多くの方々にその新しい表現が評価されたのだが、その写真の個体のような出現率だが、F2でオロチの黒さを受け継いだものが5%、その中でラメを獲得した個体は全体の1%だったのである。

中里さんの場合、「F2で1000〜2000匹採れる親数のF1を得る」のが基本で、F2の出現率は1000匹単位以上からの出現率で、かなり正確な数字になるのである。「2000ぐらいは採らないと判らない」これが中里さんの普通の方法なのである。

その数の多さだけで、他の追随を許さないと言えるのである。

逆に言うと、F2からハネられるメダカは95%に及び、その中には、これから紹介するような個体もいるのである。

もちろん、そのハネられる95%の中から別の表現のメダカを作出することは可能だが、オロチ×青ラメ幹之からの目標はあくまでも“オロチ”プロジェクト3で紹介した、オロチ体色のラメ光沢を持ったメダカなので、その他の表現のメダカには目もくれずに交配を続行されるのである。

こちらはラメ光沢を持ったオロチ体色の光体形のもの。

ラメの形状は普通体形と同様、▷である。

こちらも光体形の個体だが、この個体はシルバー体色に体の後半で斜線状に黒が入る個体である。

シルバーの中にも黒さがやや増している感じがある。

こちらはオロチの血統をもろに受け継いだ個体であるが、ラメ光沢はわずかには覗くが、中里さんの満足するものではなく、F3を作るためにはハネられた個体である。

こちらもオロチそのものであるが、F3用の種親には選ばれなかった個体である。

こちらはオロチラメとしては合格だろうと思われる個体だが、基調色が薄いため、次期種親としては選ばれなかった。

こちらもオロチラメとしては合格であろう。

これはヒレの縁や腹部のキール部が茶褐色の個体。

ラメが移行したものの、オロチ体色を現せなかった個体としては…

黒味が強い青体色の個体である。

水色というか、淡い青色の基調色をした個体である。

“若草ラメ”と言えそうな体色の個体。ラメ光沢を追うなら次期種親候補に選んでもいいかもしれないが、オロチ体色のラメ個体を追うためには、こういった個体はハネである。

青ラメ幹之を交配したことを示すような幹之メダカの血統を感じさせる個体は、オロチとの交配では意外なほど出ないと中里さんは言われる。この個体は一個体だけいた幹之メダカの表現を見せた個体である。

白体色

青メダカだが白色素胞が強い個体

朱赤体色のオス

朱赤体色のメス

これら4個体の単色体色のものがどうして出てきたのか?こういうことを考えるのも楽しいのだが、F3を作るための種親候補としては、もちろん、ハネである。

こういった個体が捨てられることで、目標とするメダカが作り上げられるのである。

これまで中里さんが作ったメダカは、青ラメ幹之(中里系統)、背びれなし幹之スーパー光の流星、背びれなし青ラメ幹之の天河、ビッグアイ幹之、幹之スワロー、青ラメ幹之スワロー、松井ヒレ長幹之、松井ヒレ長青ラメ幹之など多数いる。中里さんは作ったメダカにブリーダーネームを付けない方だが、幹之スーパー光の体外光の幅広さや体外光の強い青ラメ幹之などは、どこで見ても、光具合、体形、特に顔つきなどで、自分は「あっ!中里血統だ!」と判断できたりする。その血統を使って、他の人がF1から様々なブリーダーネームを付けていたりするのだが、それは付けている人の良心の問題で、そういった事がなくなるメダカ界になるには、まだ時間がかかりそうである。

この“オロチプロジェクト”として、オロチと交配した異品種は、オロチ×ビッグアイ幹之に始まり、
⚪︎オロチ×青ラメ幹之
⚪︎オロチ×幹之スーパー光
⚪︎オロチ×青メダカ
⚪︎オロチ×楊貴妃(紅帝)
⚪︎オロチ×白メダカ
⚪︎オロチ×ヒメダカ
⚪︎オロチ×ヒメダカ斑
⚪︎オロチ×あけぼの(非透明鱗三色)
⚪︎オロチ×野生ミナミメダカ
の10通りである。

それぞれのF2が育ってきており、例えばオロチ×楊貴妃(紅帝)を中里さんは「将来性が低い」と考えておられ、「それならヒメダカ交配のものの方が将来性が高そうだ」とも言われる。

いずれの交配も、光栄なことに過程を撮影できる機会を頂けている。

F1やF2で新たな表現を見つけるとすぐに「新品種だ!」のような安易な世界ではないことを、このオロチプロジェクトを通じて皆さんにお伝えできれば!?と思っている。

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