清水金魚 来訪
浜松の株式会社清水金魚は、観賞魚の生体と飼育用品を扱う観賞魚総合卸商社である。今回は『平成30年秋の超特選めだか品評会』が行われるということでお邪魔させていただいた。
清水金魚では、毎月最終木曜日には金魚やメダカの上物市を開催しており、3月から8月にはメダカの特選市も開催されている。そして春と秋の年2回、品評会を行っている。春先は、これから繁殖させる親ものを必要とするタイミングに合わせて行い、秋の9月は今年の当歳が育ったタイミングで行っている。そのため、若々しいメダカが数多く見ることができた。
卸商社である清水金魚では、一般の人は購入できない。小売店や卸問屋、生産者などが対象となり、出品された魚は、参加業者による競売で落札されていくのである。また、他所の競りでは袋のまま行われることがほとんどであるが、清水金魚の競りでは、魚を容器に開けて直接見ることができるようになっている。梱包の手間などが必要にはなるのだが、袋越しでなくじっくりと見ることができるため、お客さんにとってよいところである。
朝8時、すでに多くのメダカが容器に入っていたが、まだまだ出品が続いていた。出品する生産者は、早い出品場所を得るために早朝から来社され、以前は午前2時には待っていたこともあったそうだが、さすがに今では午前6時から受付を開始し、くじ引きで順番を決めているそうだ。それでもこの日もすでに10件ほどが受付を待っておられたそうで、皆さんの気合いの入りようがわかるものであった。
次々と洗面器に開けられていくメダカたち。品種によって見やすいように容器の色を変えている。
それぞれの容器には、出品者の整理番号と、メダカの品種名、出品数が書かれた札が入っている。数は様々で、少ない容器では5匹、多いものでは50や80という数も見られた。
ちらりと目についた品種を
三色ラメ
オーロララメ
オーロラ黄ラメ体外光
マリンブルーの中には腹黒も1匹。
こうした上見用の容器が270ほど並んでおり、壮観である。そしてこれらの中身は近年の人気品種が中心である。
楊貴妃や幹之、白、青、ブラックなどの品種は扱う数の桁が違う。数百ずつ入った大型の袋がこちらも多数並べられていた。
もちろん、清水金魚、各地からの様々な金魚もメダカ以上に集まっていた。
競りは金魚から始まる。仕切り役と魚の周りに参加者が集まり、かけ声がかかり競りが進んでいく。符丁で価格が決まるのだが、よどみなく素早く進むかけ声は、聞き逃してしまいそうなくらいで、参加する方々はじっと聞き入りながら手を挙げて指示を出していた。この日は東京や千葉、埼玉などからの参加者も今までになく数多く集まっていたそうだ。顔見知りの業者さんもおり、お互いにここで会うとは思っていなかったと挨拶を交わしたものだった。
メダカは競りの前に品評会の結果が出された。審査員は専門店や生産者ら数人が投票する形で集計され、第一席から三席、入選などが表示されていた。ほとんどが上見の容器に入っていたが、十数本の横見容器も用意されていた。
横見第一席 五式タイプR
横見第二席 五式
五式の人気、注目度の高さがわかる結果であった。
横見第三席 金孔雀 黄金ラメの光体形
そして数も多く審査も大変だっただろう上見。
上見第一席 三色ラメ体外光
上見第二席 黒ラメ黄幹之体外光
上見第三席 紅白ラメ
こちらも最近の注目株が選ばれていた。ラメ入り品種に体外光を乗せることが注目されているのがわかるものであった。
これら品評会の入賞魚もすべて競りの対象である。仕切り役が順位や入賞していることをアピール、「○○の改良、色乗りがいい、若くてこれから楽しみ、種親にお得」など、ちょっとしたコメントをしながら進められていく。品評会の成績やこれらの情報を元にして、どれを競り落とすか、どこまで勝負にでるか、判断する方もいるだろう。手を挙げ、指を出している限り、価格はあがっていく。どこまでいくのか?見ているこちらもドキドキとしてしまう。不謹慎?かもしれないが、ある意味楽しめる瞬間でもあった。
ひとつの容器に対して2分とかからず、次々と落札され、残りはまったく出ない。決まったものはすぐに袋詰めされて落札業者ごとに仕分けられていく。この流れるような作業も見応えあるものであった。これらのメダカはここから全国へ散らばり、小売されたり、新たな品種作りや繁殖種親として育てられていくのだろう。大量のメダカと生の競りの勢いを堪能した日であった。