『うなとろふぁ〜む』訪問

埼玉県は富士見市の『うなとろふぁ~む』へお邪魔した。
親しい卸業者さんでのセールなどでニアミスしていたのだが、直接お会いするのは始めてである。こちらからでは遠いようなイメージを持っていたのだが、いざ向かってみると電車の乗り継ぎなしで最寄り駅まで到着することもでき、思ったよりも簡単に行き着くことができたものだった。
この日は定休日であったが、「一年364日はいますから」と言われておりお邪魔させていただいた。笑い話のようではあるが、実際生き物を扱うということはこういうものではある。
代表の山崎さんとは何度かお電話でお話させていただいていたが、そのイメージ通りというか、尽きないメダカ話で終始したものだった。

友人やお客さんにも手伝ってもらいながら開墾から始めたという敷地には、30mのビニールハウス3棟がメダカ用に使われていた。そこに60リットルの練り舟が約700個置かれて、それらを山崎さんご夫妻お二人で管理されている。以前はハウス1棟はホテイソウの増殖用に使われていたこともあったそうだが、現在は約70品種のメダカで埋まっていた。この4月で5年目を迎え、やっとうまい感じに回せるようになってきたそうだ。「始めた当時は本当にきつかったですね。なにせ水道も引かれてなかったから、雨水溜めて手を洗ったりして」「今より20キロくらい痩せてましたよ」と笑われていたが、その苦労があったからこそ、今の充実を噛み締めておられるようであった。「まぁ、できるなら苦労は買ってまですることはないですけど(笑)」

そんな山崎さん、扱うメダカは流行りものよりも好みの種類を優先されている。そして違った種類での交配よりも、同じ種をひたすら採り続け、そこから出た表現を固めていくというスタイルをとられていた。最初にお話した際に「うちは掛け合わせとか新種作りあまりやってないから」とおっしゃっていたが、実際に見せていただくと、魅力的なメダカたちに出会えたものであった。
まず非透明鱗の“黄金三色”、いわゆる黄色系の非透明鱗三色からの派生魚
“白雪姫”

白の体に黄色の尾ビレを持つ
“レッドゴールド”

赤体色でヒカリ部分を黄金色に
“ゴールドメタル”

金銀の輝きで琥珀の表現に近いもの。この表現が出てきているのは“黄金三色”ならではかもしれない。
これら三種は同系統から出ており、それぞれを分けて累代されている、ゴールドは白や赤から三世代ほど後に出ており、楊貴妃体色と琥珀体色といった表現であった。

三色ラメから累代されている“白写り”と呼んでおられる白ブチラメ

「せっかく錦鯉の呼び名があるので使いたい」とされており
なのでこちらは“緋写り”と呼んでおられる赤ブチラメ

黒幹之

白や青といった改良メダカの初期からをリアルタイムで見てきたため、幹之も点光からご存じである。そのため「黒い幹之なんてある意味夢の存在でしたから」と、大好きな品種だそうだ。その中でも体外光がブロンズ色に輝く個体が特にお気に入りである。

オレンジラメから累代されている“白虹ラメ”

白体色のラメをと作られていたそうだが、その子供から今年アルビノも出現

新仔のためまだ若かったが、将来が楽しみな姿をしていた。

黒ラメ。頭部に近い部分の反射光が強い良魚である。

先月行われた日本観賞魚フェアのメダカ品評会では、ラメの部で優勝もされており、過去には埼玉県観賞魚品評大会メダカの部で琥珀ラメで全体総合優勝も獲得されており、ラメは力を入れているお気に入りの品種でもある。
琥珀ラメ

写真にしてしまうとわかりづらいのだが、驚きのサイズであった。フルアダルトどころか、メダカ?という6cmはあろうかという大きさでありながら、バリバリに産卵し、ラメ表現もばっちりな姿であった。

三色ラメからの兄弟魚

三者三様どれも面白い特徴を持っていた。これらを元親にしての繁殖も進められていた。ここからどのように特徴が分離固定されていくか、そうした作業がワクワクしてたまらなくお好きな山崎さんであった。

非透明鱗三色“小江戸錦”

透明鱗から出る非透明鱗表現の個体をまとめ、三色ラメなども交配しながらまとめているそうで、呼び名の由来は小江戸川越からつけたそうだ。

今年生まれの子供たちもしっかりと育っており、楽しみな姿の個体がいくつも見られた。

うなとろふぁ~むでは、ミジンコの培養もされており、稚魚の育成にもふんだんに使われていた。

左の蓋のある容器がミジンコ用である。
ミジンコが増殖することで各サイズの稚魚が同時に入っていても共食いすることなく成長し、さらにその成長具合も早い。普通に育てていれば、小さな個体は育った個体に食べられてしまうが、それもないそうで、早ければひと月ほどで産卵できそうなサイズにもなってしまうほどであった。
60の舟には10匹ほどの親しか入れず、エアーもなしでネットから自作した産卵床を入れておくのが山崎さんのスタイルで、時期を見て親を外し、青水やミジンコを投入。そのまま育成槽となる。

特に水質調整など特別なことが一切されず、これはここで条件を設定しすぎると、購入されたお客さんのところと状況が変わりすぎてしまうことを避けるために気をつけていることであった。

「お客さんに助けられてます」と山崎さん。お客さんが種親を持ってきてくれたり、様々な情報なども聞かせてもらっているという。また、普通のお客さんからニックネームのヒントをもらうこともあり、「変に捻ってわかりづらい名前はつけたくない」と、その姿からわかる呼び名にこだわっておられた。

お客さん命名の“白カエル”

愛嬌ある顔つきで女性人気も高いそうだ。

「うちのお客さんはスルメタイプで」と。
どうやらマニアックで、「よく見て噛み締めないとわからない魚を見る人」を言うそうだ。
自分が気にしていた“スカイブルー”

実はアオメダカではなく、黒出目から青体色に持ってきたもので、「スルメタイプですね」と笑われていた。

今年生まれの稚魚も、大きいものでは近々卵を生めるのでは?というサイズまで育っており、楽しみな表現の個体も数多く見られた。掛け合わせではなく、ひとつの品種を突き詰めることでの新たな姿の作出というメダカ作りの楽しさが詰まっている『うなとろふぁ~む』であった。もう1、2ヶ月もすれば、それらの子供たちがしっかりとした姿を見せてくれることだろう。「売れちゃいそうですね」と聞くと、「いや、気に入ったのは自分用にしますから」ときっぱり。商売でありながら、ご自分の楽しみも忘れずに取り組まれ、メダカ話が尽きることはなく、楽しい時間を過ごさせていただき、また次にお伺いするのが楽しみであった。ただ「夏場は死にそうに暑いですから気をつけて」とのことであった。

おまけ

やはりというかここでも多肉植物の姿が(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です