小寺義克氏の作る 非透明鱗三色 あけぼの

今回の広島、岡山取材のメインが、非透明鱗三色を一気に注目品種にした、あけぼのの作出者である小寺義克さんの飼育場の訪問であった。

福山市にある『栗原養魚場』の栗原さんが取材の段取りをとってくださり、先の土曜日は仕事を途中から休業してくださり、小寺さんのお宅へと連れて行ってくださった。

小寺さんのご自宅は、岡山県の笠岡にあり、福山からは30分ほどの道程であった。同行したBeer Tosaのハンドルネームを持つ須賀さんは、今回、小寺さんの飼育場を訪問できることとなり、「前日は興奮してほとんど寝られませんでしたよ」と言っていた(笑)

でも、その気持ちも理解でき、自分も今回の広島、岡山取材は、ちょっと気合いが入っていたのである。

小寺さん宅に到着すると、小寺さんから「良いものはおらんのに…」というお言葉!
この言葉については、人気ブログ『ヨタロ〜ピッカピカのメダカ生活 http://yotaro185.jugem.jp』でも書かれていた言葉で、誰も信じない小寺さんの口癖と言うことにして、早速、ストロボをセットして、飼育場、メダカ撮影をさせて頂いた。

こちらが、あけぼのを作られているハウスである。整然と飼育容器が並べられており、ここの左手に種親が、右手と下段には今年生まれのあけぼのが元気に泳いでいた。

種親の産卵用の容器である。

それぞれの容器には6〜10匹の種親が入れられていた。この数の違いと種親のタイプをじっくりと見せていただけた。

では、その産卵用の容器で育てられていたあけぼのをご覧いただこう。

自分が一番、気に入った一匹である。

そして、誰もがこのあけぼのを見れば目が釘付けになる個体であろう一匹である。

非透明鱗三色の中でも、あけぼのの魅力はこの緋色の濃さである。

非透明鱗三色の良さを最も表現しやすいものが、この頭周辺が朱赤色になり、体は白色と黒ブチの個体であろう。

ここからのあけぼのは、ウダウダ言うのは止めにして、一匹ずつをしっかりと見ていっていただき、好みのあけぼのを決めていただきたい。作出者である小寺さんが種親に選ばれた個体ばかりである。

非透明鱗三色の中でも、あけぼのが好きだと言う人は多い。実際、同行くださった栗原さん、同時に同行された須賀さんもあけぼのを飼っており、様々な非透明鱗三色が知られる中でも、小寺さんが作られたあけぼのは、玄人好みというかずっと追求していきたい品種なのである。

やはり非透明鱗、透明鱗に関わらず、三色が好きな方にとっては、あけぼのは外すことが出来ない品種なのである。

この飼育場で繁殖に用いられていたあけぼのは、一匹一匹の特徴、そのグループの組み方、いくら見ていても飽きることがなかったのである。

このあけぼのがどうやって作られたか?は、4年前から小寺さんが楊貴妃にラメを持った品種を2回交配され、その後、さらに楊貴妃×幹之から得られた個体を交配されたそうである。

小寺さんの凄いところは、選別淘汰の厳しさにありそうであった。ハウスの外にある排水溝には、あけぼのとしては小寺さんが❌としたメダカがハネられていたのである。黒ブチがしっかりしたもの、もう少し飼っていれば良くなりそうな個体がバシバシ捨てられていたのである。

小寺さんが一人で飼育場におられる姿を見ていたと思えた。小寺さん、これまでディスカスなどの熱帯魚、らんちゅう、そして伝書鳩を飼ってこられた方で、その話を伺った時に、小寺さんから「そんなことを聞いてどないするんや」と笑われていたが、どれも種にする魚、鳩の血統が大切な生物であり、そういった生物の飼育経験がメダカ作りにも活かされているのだと感じた。

その小寺さんが考えて選ばれた個体なんだと思って再び、選別されたあけぼのを見直してみると、「非透明鱗のバリエーションを考慮する」、その出現する個体の幅広さまで加味されておられるのだと感じられたのである。

よく非透明鱗三色を繁殖させている人は、「幹之メダカ血統が強く現れた灰色っぽく、目に青い輝きがある個体を外す」という基本路線があるのだが、その話を小寺さんに尋ねてみると、「一匹は必ず残す」と言われたのである。今回、撮影させていただいた種親の中にはそういった個体はいなかったのであるが、この部分はしっかりと頭に入れておきたいと思った。

広島県福山市は多くのメダカ愛好家、しかも相当レベルの高い人が集まっているのだが、その誰もが小寺さんには一目置いておられるのである。栗原さんとは、「交配を進めながら、小寺さんには出てくるメダカが想像できているのだろう」と言う話をしていたのだが、実際、新たな表現を持ったメダカを作ることが出来る人って、そういった超能力的なサジ加減、そして、自分のメダカを信じて累代繁殖をやっていける生物との向き合い方が出来るのである。

こちらは自宅横にある飼育場である。ここに成魚サイズの赤勝ちのあけぼのが多数ストックされていたのである。1〜2cmサイズのあけぼのは「容赦なくハネられる」小寺さんが、赤勝ちのあけぼのを残されていたのもとても印象的なことであった。

こちらも自宅前に設置された飼育容器で、あけぼの以外の品種、特にヨタロ〜さんが「小寺SP」と呼ばれた〔黒幹之×(楊貴妃×幹之)〕×灯から持ってこられたメダカが飼われていた。

こちらは華蓮の品種名が付けられた、ブラックリム系のニュータイプである。おとひめ×灯の交配から小寺さんがまとめられたメダカである。

〔黒幹之×(楊貴妃×幹之)〕×灯から維持されているメダカで、“金色夜叉”と命名される?のかもしれない。

〔黒幹之×(楊貴妃×幹之)〕×灯

〔黒幹之×(楊貴妃×幹之)〕×灯

〔黒幹之×(楊貴妃×幹之)〕×灯。このメダカは一匹一匹、じっくりと見ていたら時間がいくらあっても足りない、何か惹きつけられる魅力を感じるメダカだったのである。

これまで長い時間、撮影とお話をさせていただき、大満足していたのであるが、栗原さんから「見落としてるメダカはいないか?」と言われ、「エッ?(汗)」と思ったのだが、一番奥に入ってみると…

「ゲッ!😵😵」とんでもない透明鱗三色がいたのである。

透明鱗三色、しかもフルサイズの個体にしてこの黒斑!そして朱赤色!😵慌てて、カメラをリセットして撮影させていただいた。

透明鱗三色

透明鱗三色

本当に素晴らしい飼育場とメダカたちであった。

ヨタロ〜さんも再訪しますと言われておられたが、小寺さんの作られるメダカはずっと見続けていきたいと思われる魅力に溢れていたのである。私も必ず再訪させていただきたい、そうとしか思えない素晴らしいメダカと飼育場だったのである。

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