白体色のブラックリム

　鱗の一枚一枚に黒色素胞が入ることで、独特な黒みを見せる“ブラックリム”と呼ばれるメダカたち。“クリアブラウン”や“オーロラ”などを元にし、透明鱗ではないのだがやや透けたような体をしており、特徴的な姿をしている。その由来を持つ“乙姫”や“紅薊”などは、黒みのある体に濃い橙色を呈する姿で人気であるが、殖やしていると白体色の個体も出てくる。

　“乙姫”から得られた白体色の個体。近年、“白姫”の販売名で扱われるようにもなったが、“乙姫”の作出者である広島県の『栗原養魚場』でも“乙姫”作出時から確認できていたそうである。

　橙色であった部分がクリームがかった色合いになり、黒と白という対照的な色の組み合わせになった。これは黄色素胞に黄色色素がなくなる常染色体上の遺伝子が影響したものによる。同じ遺伝子が性染色体上ではオスの黄色素胞に黄色色素が生じ、メスの黄色素胞には黄色色素が生じないという特性を持ち、そのため、このブラックリム系の白色タイプではオスがでにくく、当初は白い個体はメスばかりであった。その後、オスも得られるようになり、今ではペアを揃えるのも容易になっている。

　こちらは“紅薊”から得られた白体色のタイプ。カラーリングは同じだが、“乙姫”の白体色とは異なる雰囲気を持つ。他のブラックリム系統からも白い個体は得られるので、そこを追求してみるのも面白いだろう。