北斗とマーブル
埼玉県『行田淡水魚』の小暮 武氏が作出された独特な特徴を持つ“北斗”。
体内に銀鱗のように輝く虹色素胞を持つことから、冬の夜空に輝く北斗七星をイメージして2011年に命名された。
小暮さんが交配されていた青透明鱗メダカが元になっており、腹膜に独特な輝きを見せ、背中線に白い粒が並ぶ個体を見つけられた。その白がグレーへと変化し、出目やシャチホコ、アルビノなど様々なメダカを交配して累代を進められたそうだ。やがて出目やアルビノの要素は消えていったそうだが、腹膜の輝きの特徴は残り、“北斗”の原型が作られていった。
累代が進むにつれ、腹膜や骨に黒い色素が乗るようになってきたそうだ。白い容器に入れると、その黒さがよくわかる。この姿を見て思うのは、近年人気が高まった“黒百式”や“緑光”といった全身体内光系のメダカたちにつながる姿が見えてくる。小暮さん曰く「“北斗”に体内光を持ったメダカを交配すると黒くなる」とのこと。“北斗”自体も累代により黒みが増しているのだが、交配することでさらにその特徴が強まると言われる。
こちらは“マーブル”。小暮さんが“北斗”の黒みの増したタイプに体内光メダカを交配して累代されている系統になる。背中線の黒さも強く、体後半部の黒みも増している。
黒い容器に入れると、“北斗”らしい腹膜の輝きもしっかりと表現されているのがわかる。また、水槽に入れて横から見ると、体側にグアニンの青い輝きも確認することができる。
上見だけでなく、横から見ても楽しめる表現を持っており、これは“黒百式”などの特徴でもある。
“北斗”は全身体内光に交配され、全身体内光の進化にも関わっており、多くの体内光系メダカに多大な影響を与えている。
最近ではそれぞれの系統を使っての交配も盛んに行われており、より黒みが強く、体内光が見えないほどの姿になっている系統も出ている。もちろん小暮さんの“北斗”や“マーブル”も進化が進められており、色柄でない渋い魅力のメダカ達も魅力に溢れている。