『桃ちゃんめだか』訪問
昨年春、初めてお邪魔した『桃ちゃんめだか』では、ハウス内にはジャンボプラ舟がずらりと並び、さらに外には大型のプールが並ぶ圧倒的な光景が広がっていた。
その場所の前には、まだ開墾中とされていた広場があり、何本もの大きめな樹木が生えていたのだが、冬の間にその場所を整備され、今回お伺いした際には、そのスペースにはジャンボダライが整然と並ぶ、新たな養魚場としての姿ができあがっていた。
増やしたタライの数は180ほどだそうで、今シーズンはすでにその場所もフル稼働しているそうだ。以前は年間およそ5万匹を出荷されていたが、現在の数はよくわからないというぐらいになっているようだ。道の駅4カ所への出荷と、埼玉と静岡で行われる年約40回の市場への出荷、さらに観賞魚卸業者からの注文対応など、毎日を忙しく過ごされている。並んだジャンボダライの回転も早く、出荷に合わせて、ほぼ二日おきぐらいに丸洗いされているそうだ。
プラ舟もハウス外に白を含めて新たに多数が新設されていた。今回は真夏の訪問であったが、張り巡らされた日除けの寒冷紗のおかげで、スムーズに作業が行えた。
『桃ちゃんめだか』といえば、ヒレの伸張する2品種、“松井ヒレ長”と“スワロー”を交配し、光体形で仕上げられた“バタフライ”であるが、今回は他の扱い魚を中心に見せていただいた。
市場を中心に出荷されていることもあり、そこへの他所からの出品魚や市場の動向などの情報を即活用されている。以前はそれほど持っていなかったというラメ系の品種だったが、人気があるということで複数種を導入されていた。
高い人気を誇る『静楽庵』の“サファイア”その頭赤のタイプ
当初はオスのみで見られていた表現であったが、しっかりとペアが揃っており、繁殖体制に入られていた。
“ユリシス”
“天界”
オーロラ黄ラメ由来の各人気タイプもしっかりと殖やされていた。
“天鵞絨”
“黒百式”系のタイプも人気は高い。これらも大型のプールを使い、しっかりとした体格の魚を量産されていた。
楊貴妃や幹之といった不動の定番人気品種はもちろん、こうした人気の高まっている表現のメダカも素早く導入される姿勢は、市場や卸業者への対応にもつながり、人気が高まるのもよくわかる。扱われる品種数は約30品種ほどで、市場の動向によって入れ替えることもあるそうだが、いたずらに品種数を増やすことはされず、しっかりとしたメダカを作り出荷することが大切とされていた。
また、こうした基本品種の他に、独自の交配も楽しまれている。
三色ラメ幹之体外光に“来光”を交配して累代されているハウスネーム“かんな”
名前の由来は愛犬からだそうで、“紅薊”由来の朱や黒の入り方にこだわられており、外光の入り具合など、さらなる進化が楽しみであった。