『丸玄』訪問
静岡県の『丸玄』といえば、今ではメダカ愛好家に広く知れ渡った名前である。ヤフーオークションに出品されたメダカの質が高く評価され、注目度も鰻登りで、その後も人気の出品者となり、今ではネット販売などにも力を入れられている。始めてお伺いしたのは2017年、その規模に驚かされたが、そのほとんどを関口直樹さんと片平和男さんのお二人で切り盛りされていることを聞き、さらに驚いた。らんちゅう関係で関口さんのことは知ってはいたのだが、いつのまにかメダカ中心になっていたこともこの時知ったのであった。当時、飼育場は第一から第三まであり、第一と第二はたたき池やプラ舟で埋まった大型のハウスで、第三が4m角のコンクリたたき池が並ぶ屋外の飼育場であった。秋口であったこともあるが、そのたたき池にザブザブと入っていく関口さんの姿が衝撃的であった。
それから約4年、2021年の春にはさらに大型の第五飼育場まで出来ているそうで、その全貌を見せていただくには泊まりがけでお伺いしても無理そうである。今回は、以前からある第一飼育場に腰を据えて撮影させていただいた。
巨大なハウスの半分は、ジャンボダライやたたき池のスペースである。もう半分は、木枠で嵩上げされた台の上段にはプラ舟が敷き詰められ、主に採卵が行われている。
ひとつのプラ舟には親が入っているのだが、その数はペアやトリオといった具合でごく少数で採卵されている。吟味された親で確実に卵を採るよう、たっぷりの水量の中で産卵が行われていた。
他の養魚場でも見られるハウスの中にさらに仕切られたビニールハウスを設置して、温度を確保するハウスinハウスの形のフ化専用場も設けられている。採卵された産卵床をここに集め、フ化後しばらくした稚魚たちはジャンボダライ、そしてたたき池へと移動され、育成される。「メダカの成長には水量が大切」とされ、より広い場所での育成が『丸玄』流である。
扱われている品種は幅広い、幹之などの基本品種はもちろん、最新品種の導入の早さにも定評がある。いち早く種親を導入することで、その品種を殖やすことはもちろん、異品種交配にも積極的に活用されており、『丸玄』発の新系統も数多く流通されている。ラメや体外光の系統を得意とされており、その仕上がりの美しさはオークションでの人気も納得の姿である。それらはメダカ百華11号にたっぷりと掲載させていただいた。
また、ヒレ長表現への交配もいち早く取り組まれており、数々の交配魚を作られている。
松井ヒレ長白カブキ
松井ヒレ長鱗光
オーロラ黄ラメ×リアルロングフィン
“はなつばさ”
“王華”も松井ヒレ長化。交配に使った”忘却の翼“と“王華”から名付けている。
撮影している合間に、次々と魚を出していただき、どれだけのネタを持っているのかと驚き、開発中の系統も他の養殖場に控えているという。まだまだ底が見えない『丸玄』であった。おそらく次に訪れる際には、さらなる進化したメダカを見せていただけるだろう。今からそれが楽しみである。
凄いですね、色々な種類がいるんですね