『猫飯』訪問
静岡県浜松市の『猫飯』も、幾度となく訪問させていただいている専門店のひとつである。交配や新品種の作出を積極的に、しかも相当な速度で行っており、お伺いする度に新たな姿やネタを仕入れさせていただいている場所である。初めてお伺いしたのは、2017年の夏であった。まだこの時は、ハウスではなく露地にジャンボダライが並べられ、その周りに大型バケツが並び、さらにたらいの上にNV-BOX、その上に小型容器と二重三重に容器が積み重ねられ、親、稚魚、卵が入り乱れるという、ちょっとカオスな雰囲気に圧倒された記憶がある。その後、訪れる度に『猫飯』は進化していた。ハウスが1棟、さらに1棟と増え、直置きだった容器も容器もアングルが組まれて二段置きになりという具合に、さらに容器も増えていった。そして、ご自宅前だけでなく、別の場所にハウスを借り、さらに土地を購入してハウスを建ててという具合に、今なお規模を広げている。
ハウスは第1から第3があるが、これは単に『猫飯』本拠からの近さの順である。
こちらは第1と呼ばれるハウス。まだ新しく、中は容器を増設中である。本拠からは歩いて3分もかからない近さである。今回は、こちらに腰を据えさせていただいた。
ジャンボプラ舟や活魚用のFRP槽が並び、中には育成される若いメダカ達が群れていた。まだまだハウス内の半分ほどしか使われておらず、空き容器も控えており、さらに増えていくのだろう。
ジャンボダライや大型プランターが並ぶ一角。こちらは主に採卵用の種親が収容されていた。
ハウスを抜けて外に出ると、露地が容器で埋め尽くされていた。こちらも種親槽がメインである。既存品種から『猫飯』オリジナルの交配品種、新たな掛け合わせなど、どれだけのメダカがいるのか、ちょっと把握仕切れないほどの数であった。
三色ラメ幹之
こうした人気品種はしっかりと殖やされており、数系統をキープされていた。
三色ラメ幹之の松井ヒレ長
ヒレ長化は『猫飯』の十八番である。初期から交配を開始されており、扱われているほとんどの品種で普通体形とヒレ長とが揃っている。
青緑がかったラメが気になった系統
三色ラメから出たものだそうで、あえて赤が出ない姿にまとめられていた。画像にすると伝わりにくいが、日光の下で見た青い輝きが気に入ってしまった。
斑好きとして反応した個体
明瞭な黒斑が目に飛び込んできた。雲州三色からの累代で、あえてこうしたタイプも残されていた。
“古龍”
三色ラメ体外光×黒幹之ヒレ光から累代されているもので、独特な色味を光沢を見せていた。
松井青幹之シャイナー
幹之の体外光を口先どころか、下唇まで伸ばし、さらにヒレの変化を最大限に求めてと、交配選別を繰り返してこられた。その最新型は、今回のメダカ百華11号で紹介させていただいた。
『猫飯』も、その全貌を撮影しようとしたら、泊まり込んでいても無理だろうと思えるほど、どれだけの数が控えているのか掴めない。訪れる度に進化させた姿を見せていただける楽しみもある。また、多くの仲間がいることから、その皆さんが集まっての販売会「猫飯フェスタ」というイベントも積極的に行っている。この5月3日と4日にも行われる予定である。何度かこのフェスタにもお邪魔しているが、熱心な愛好家の方と知り合えたり、それぞれの方が殖やしたメダカ達に目移りしたりと、楽しい時間でもあった。もちろん、『猫飯』オリジナルも並ぶ。こんなご時世ではあるが、対策はされているので、こちらも気をつけつつ、訪れてみるのもお薦めである。