“鱗光”バラエティ
愛媛県の垂水政治氏が作出した“鱗光”は、背の鱗一枚一枚が輝く表現を持つのが特徴で、幹之などに見られる背中が埋まるような体外光とは異なる背の輝きを見せる。さらに背ビレやしりビレの先が伸張する“ロングフィン”の特徴も併せ持っており、2019年末に発表されるや、大きな話題となった系統である。その人気の高さから、多くの人に殖やされ、バラエティに富んだ姿を見ることもできる。
(株)清水金魚の市場に出品されていた埼玉県『桃ちゃんめだか』の“鱗光”グリーンタイプ
垂水氏は、“鱗血統”と“ロングフィン”の特徴を持つ、青体色や白体色の表現の品種“垂水ロングフィン”に黄色の表現を持たせるように“鱗光”を作出された。この“鱗光”グリーンタイプでは、青みがかることで全体的に緑の色合いを感じさせる姿に作られていた。
こちらも(株)清水金魚の市場に出品されていた宮本浩克氏の“鱗光イエロー”
頭部だけでなく、体全体が黄体色の表現でまとめられており、雰囲気の異なる印象であった。
“鱗光”は、やはり垂水氏の作出した“ブロンズ”、“王妃”と同じ交配から作出されている。“黄桜”と“夢ラメ(夢光)”の交配に、さらにアルビノ光体形を交配されており、それぞれを殖やすことで、似通った表現の個体を得ることもできる。
埼玉県『うなとろふぁ~む』が“鱗光”から繁殖させた個体
濃い褐色の体色で、“ブロンズ”との類縁関係を感じさせる姿であった。こちらでは、“鱗血統”の特徴である輝きが青みを帯びている表現に注目されていた。
静岡県『(株)清水金魚』繁殖の“鱗光アルビノ”
アルビノの体に、“ロングフィン”のふさふさとしたヒレが映える仕上がりであった。これもアルビノ品種である“王妃”との関係が気になるところかもしれないが、扱いとしては“鱗光”から得られたものであるから、“鱗光”のバラエティとして扱うのが正しいだろう。「アルビノでこの特徴なら“王妃”だ」「褐色で体外光持ちだから“ブロンズ”だ」ではなく、あくまで「“鱗光”を殖やして得られたタイプ」という姿勢を崩さないこれらの繁殖業者を支持したい。