清水金魚「2021年初競り」訪問
ここ数日はやや寒さが緩いんだものの、まだまだ冬真っ盛りの中、今年の初メダカ取材である。浜松の株式会社清水金魚で開催された『2021年初競り』にお邪魔した。
清水金魚では、毎月最終木曜日に金魚やメダカの上物市や特選市が開催され、春と秋に行われる『超特選めだか品評会』には多くのメダカが出品される。春先の回は、これから繁殖させる親ものを必要とするタイミングに合わせて行われ、秋はその年に採られた卵が育ち、よいサイズになったタイミングで行われている。清水金魚は業者向けの卸商社のため、一般の人は購入できず、参加には登録が必要になる。小売店や卸問屋、生産者など登録業者が集まり、出品された魚は、参加業者による競売で落札されていく。
春や秋のシーズン中には何度かお邪魔していたが、オフシーズンである初競りは初めての訪問であった。横浜から早朝の新幹線で浜松へと向かう。コロナ渦の現在、自分にできうる限りの注意を払いながらの移動である。緊急事態宣言下ではあるが、昨年に比べると人の動きは多い印象ではあった。それでも新幹線は1両に数人程度であった。
9時頃に清水金魚に到着。手指の消毒と体温チェックを受け、会場入りすると、鉢型の容器が広場に並べられており、出品する方々がメダカを袋から出している最中であった。
他所の競りでは袋に入ったまま行われることがほとんどであるが、清水金魚では、メダカが容器に開けられているため、袋越しでなくじっくりとメダカを吟味することができるのも特徴である。それぞれの容器には、出品者の整理番号、メダカの品種名、出品数が書かれた札が入れられる。
並んだ容器は150個余り、ひとつの容器には10匹ほどから50匹くらいまで収容され、最新品種から定番種まで、多種多様なメダカたちが並んでいた。
“鱗光”、“王妃”など、話題を集めた品種の出品数は多めであった。メダカのサイズも様々で、やはりオフシーズン中であるのを感じた。おそらくハウスなど加温設備で飼育されている出品者のメダカは、しっかりとした体格で、中には即戦力で卵を採れそうな大型サイズも見られた。やや細めのメダカたちは、無加温状態の中から持ち込まれたのだろう。気温の低下と共に餌を切るため、この時期ではしょうがないだろう。それでも調子が悪いというのではなく、この後、気温の上昇と共に仕上がっていく若々しい姿であった。
もちろん、金魚の出品も多い。
コロナのおかげで、昨年はらんちゅうの品評会が軒並み中止されており、しっかりとその姿を見るのは久々であった。さすがに清水金魚である。そのまま大会に出したくなるような個体が並んでいた。
他の金魚も色とりどりな姿を見せており、ステイホームのために飼育人気が高まっていることから、動きはよさそうであった。
競りはまず金魚から始まり、その後、メダカへと進んでいく。
魚の周りを囲むように参加者が集まり、仕切り役が声をかけながら競りが進んでいく。符丁で価格が決まるのだが、よどみなく素早く進むかけ声は、聞き逃してしまいそうなくらいで、参加する方々はじっと聞き入りながら手を挙げて指示を出していた。手を上げている人がいる限り、価格は上がっていく。人気品種ではしばしばご祝儀の柏手が聞こえてきていた。
参加人数は、去年よりも多いとのことであった。この真冬の時期ではあるが、次々と落札されていく様子を見ていると、メダカへの注目度、人気が続いているのだと感じられた。本格的な取材はもう少し先になるのだろうが、今年も多くのメダカに巡り会えることを願う。