清水金魚の超特撰市 訪問
今年も浜松の株式会社清水金魚で行われた『秋の超特選めだか品評会』にお邪魔させていただいた。
清水金魚では、毎月最終木曜日に金魚やメダカの上物市や特選市が開催される。その間、春と秋の年2回、『超特選めだか品評会』が行われる。春先の回は、これから繁殖させる親ものを必要とするタイミングに合わせて行い、9月は今年の当歳が育ったタイミングで行われている。
卸商社である清水金魚では、一般の人は購入できない。小売店や卸問屋、生産者など登録業者が集まり、出品された魚は、参加業者による競売で落札されていくのである。
競り前に行われる品評会は、参加業者の投票によって決められる。横見部門で第1席を獲得されたのは
宮本浩克氏の王妃であった。
さらに上見部門の第1席は
同じく宮本氏の陽炎である。宮本氏はメダカ百華で何度も登場いただいているが、今年もその確実な作りはますます磨きがかかっている。飼育設備も増強されておられ、次に見せていただくのが楽しみであった。
競りにかけられるメダカは、鉢型の容器に開けられている。他所の競りでは袋のまま行われることがほとんどであるが、清水金魚では、メダカが容器に開けられているため、袋越しでなくじっくりとメダカを吟味することができるのも特徴である。それぞれの容器には、出品者の整理番号、メダカの品種名、出品数が書かれた札が入れられている。最新品種から定番種まで、多種多様なメダカたちを見ることができた。
そして、この日並んだ容器は300個余りで、過去最高の出品数であったそうだ。登録業者も200件を超えており、その数は増え続けているということで、メダカ人気の高さがわかるものであった。
この日の主役はメダカであるが、もちろん金魚も出品されており、競りはまず金魚から始まり、メダカへと進んでいく。
仕切り役と魚の周りに参加者が集まり、かけ声がかかり競りが進んでいく。符丁で価格が決まるのだが、よどみなく素早く進むかけ声は、聞き逃してしまいそうなくらいで、参加する方々はじっと聞き入りながら手を挙げて指示を出していた。
この日は、午前中早めにお伺いし、競りの前に清水金魚の清水大輔常務の管理するメダカたちを見せていただいていた。
事務所棟の屋上はジャンボダライで埋め尽くされていた。各生産者からの仕入れと共に、清水金魚ブリードのメダカの生産も行っている。メインの商材は仕入れることになるのだが、面白いと思われた品種や独自の累代改良などが行われていた。
清水大輔氏が3年をかけて固定化を進めた緑色がかったラメ系品種。“美翠”と書いて“ジェイド”と読むハウスネームが決定し、いよいよリリース準備に入ったそうだ。
“グリーン”から得られた黒体色のタイプ
青色のラメに注目している“三色ラメブルー”
発表以来注目の“鱗光”のアルビノ
黄ビレ“ブラックダイヤ”のヒカリ体形タイプ
紅白松井ヒレ長
以前は巨大な蓄養池であった場所も埋め立てられ、メダカ用のスペースにするべく容器が並べ始められていた。
最終的にはこの倍以上の容器が並び、大型のプールなども設置予定だとされる。
現在、最注目株の観賞魚とも言えるメダカ。「いつまで続くかわかりませんけど」とおっしゃるが、さらなる増強は今後のメダカ人気を牽引されていくことが強く感じられたものであった。