埼玉県でメダカ巡り

この週末土曜日は埼玉県のメダカ屋さん廻り。以前にも各所に同行いただいている三ラメの作り手のぶりんさんの運転で巡らせてもらった。
8月に入ると同時に梅雨明けとなった今年、この日も暑くなることは想像していた。前日の金曜日の昼間などは、むわっとした空気と日の当たるじりじりとした感じに参っていたので、その中でもメダカ取材は相当な暑さを覚悟していた。しかし、朝からそれほど強い陽射しはなく、どことなく曇り気味な感じな空模様である。このまま日が出ない感じであれば、気温が高いのはしょうがないとしても、まだましな環境である。曇ったままでと祈りながら埼玉県へと向かった。

まずお邪魔したのは富士見市の『うなとろふぁ~む』さん。前日まで数年ぶりという出張に出られており、日が変わってからの帰宅であったが、到着した朝九時前にはとうに仕事を開始されていた。

今年になり、ハウスを新調されており、30m超のハウス二棟にはびっしりとプラ舟が並べられており、さらなる量産体制が整っていた。メンテナンスも考えられており、排水管が埋め込まれていたりと工夫されており、使い勝手もよさそうで、ますますメダカ作りに力が込められていた。

しばらくすると曇り空から日が差し始め、気温もぐんぐんと上がり汗が噴き出す。しかし、頭上に張られた遮光ネットのおかげでずいぶんと楽であった。自宅でもそうだが、この時期の直射日光は容器の水温をぐんぐんと上げる。こうした日除け対策はメダカにも人にも大切である。

この日のお目当ては黒幹之


黒幹之の体色にはバリエーションがあり、文字通り黒っぽいものから青みがかるもの、赤銅色がかるものなどがおり、どれも渋い魅力に溢れている。人によっての好みも様々で、選別の楽しみもある。
以前より『うなとろふぁ~む』では黒幹之の累代を続けており、ブチ模様を持つものや、黄色発色を部分的に見せる個体が得られており、それを交配したものも累代されている。
それがハウスネーム“?(はてな)”


なんとも妙なハウスネームではあるが、不思議な表現ということでこの名で呼ばれている。黒っぽい体に頭黄の表現を持つが、その色合いは黄から緑色がかる姿に進められている。バリエーション的には黒幹之に近いものや外光を持たないタイプもまだ出ているが、この独特な色合いの割合は高くなってきているのが、この数年で見てとれた。さらなる進化が楽しみな系統になっている。

次に向かったのは新座市。こちらにお住まいの『さっちゃん』さんはお店ではない。一部、道の駅で販売もされているが、熱心な愛好家の方である。

広大な畑の中に並ぶハウスのひとつがメダカ用である。その横にはアングル上に並べられた容器群が控えていた。こちらは露天で、やはりこの時期の必需品、すだれや遮光ネットが容器の7割ほどを覆うようにかけられていた。

ハウスの中も大小さまざまな黒ボックスや発泡箱が積まれていた。メダカ好きな方らしい状況で、品種が増えるたびに容器が増え、それらが産卵することでさらに容器が増え、というのはよくある話である。

数ある容器から、まず出していただいたのは“KKT”

これは“黒ラメ黄幹之体外光”を意味する独特な呼び名であった。お好きな系統のひとつで、元々は静楽庵の魚で、「びびびっときて、超衝動買いしました」と、これぞと思える親セットに出会われたそうである。いまではくっきり系や薄い系、冬採りなどタイプを分けて飼育されている。色の好みも独特で、こうしたオレンジに黒みがかった色合いがお好きだそうだ。

赤黒系のメダカもこだわりのひとつである。

こちらは夜桜であるが、しっかりと赤黒の姿に作られていた。


容器の表示は“ろみ”と書かれており、なにかとお聞きすると“3み”で三色幹之のことであった。こちらも“KKT”同様独特な色合いを醸し出してていた。

こちらは川戸博貴氏作出の“カブキ系黒幹之”から得られた“白カブキ”。

体外光も模様の一部と考えられており、体外光が伸びてくると、「つながるな!」と願うそうである。途切れるように入ることを望まれていた。
体外光を持つ品種でも、どちらかといえば色合いや模様を重視されているようで、群れの中で好きな個体を選んでもらうと、必ずしも外光が乗っている個体を選ぶことはされておらず、あくまでご自分の好みで楽しまれているのが強く感じられた。

この日の締めは入間市の『medaker』さん。予定よりも到着が遅くなってしまい、日も暮れ始めようかという時間であった。そのおかげか暑さはさほど感じなくなっていたのは幸いであった。
メダカ好きということで『medaker(メダカー)』の屋号を決められた。二つ並ぶハウスのひとつがお店としての販売用、もうひとつは繁殖などのバックヤードとして使われている。

昨年末にも一度、寄らせていただいていたが、その時よりもお店の中はすっきりと様変わりしていた。話題の白プラ舟がしっかりと組まれており、見やすい配置となっていた。
日も落ちてきたということで、早々に撮るメダカを出していただく。数多くのメダカをお持ちであるが、中でも“緑光”にこだわられ、積極的に殖やされている。その中からの変わり種を見せていただいた。
こちらは“パールアイ”

上見で見ても、なにか違和感を感じるだろう。下のオス個体である。

目が真珠のように光り輝いていた。水質悪化などで目が白濁りすることがあるが、これはそうではなかった。目の角膜にグアニンが散在する個体は、昨年くらいから聞かれるようになったが、この個体もそれに準ずるように思われる。さらに通常個体よりも全体的に目が膨らんでいるようでもある。すでに子に受け継がれることが確認できているそうで、この先の変化が興味深い。

こちらは“緑光”ד鱗光”から得られた個体

これも上見で違和感を感じたが、横から見るとその姿に驚かされた。

尾ビレが完全になくなっており、しりビレがその部分を覆うように伸びていた。熱帯魚ではノーテール○○という感じにいくつか見たことがあったが、メダカでは初めてであった。不自由そうではあるが、チョコチョコと元気に泳ぐ姿が見られた。これも繁殖体制がとられており、今後の行方が気になるところである。

他にも体内光好きとして気になったハウスネーム“ゼロ”


“天女の舞”×幹之ロングフィンで作出された松井ロングフィン体内光である。体内光の輝きは上見でないと見えないが、光り輝くように伸張するヒレは横見で映える。様々な方向から楽しめる姿になっていた。

赤や黄など濃い派手な色合いは持たないが、渋い独特な綺麗さと共に、独自の姿を追求されている『medaker』さんであった。

飲んだ飲料以上の汗が出たような感覚もあったが、いろいろな姿のメダカたちを見せていただくと、その暑さも忘れられるような気になるから不思議である。どこもまた次の姿を見せていただくのが楽しみである。

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