中里氏の次なる幹之メダカ 管理名“プラチナ”と“ピンスポット”
幹之メダカがリリースされたのは、2007年のこと、今年が13年目となる。様々な改良品種が毎年、発表される中、楊貴妃メダカと並び、この幹之メダカは常に安定した人気を得てきている。
体外光を持つメダカ、ラメメダカの各品種など、この幹之メダカの血統があったから出来上がったもので、改良メダカの世界で大切な品種の一つである。
ここ最近は、楊貴妃メダカ、幹之メダカの人気ツートップの品種を飼ったことなく、その進化型の品種を飼育している人の割合が年々、多くなっている。
常々、言っているのだが、メダカの朱赤色の濃淡の判別は楊貴妃メダカから、体外光を乗せるためには幹之メダカから学べることが重要なのだが、「いつでも安価で入手できる」という今日、それを言ってもなかなか反応されない話になってきてしまっている。今年からメダカ飼育を始める、あるいは去年からメダカ飼育を始めて、容器数に余裕がある愛好家には、是非、一度、この幹之メダカと楊貴妃メダカを飼育、繁殖させる経験を積んで頂きたいと思う。そこから学べる知識と経験は、その後、様々な品種の飼育に応用できるからである。
神奈川県川崎市在住の中里良則氏は、2007年、『めだかの館』から入手した種親から、現在まで他の系統を一度も混ぜることなく、累代繁殖した幹之メダカを量産し続けておられる方である。
中里さんのメダカの繁殖、育成水槽の画像は、常に、多くのメダカ愛好家を驚愕させるもので、60cm水槽で数千匹のメダカを育てあげられるのである。
その中里氏が進める、幹之メダカの最新作。幹之TSからの選抜魚で累代を開始されたものが、この管理名”プラチナ”である。
興奮したオスは次の写真のようにヒレに黒味が増してきて、見応えのある姿になる。
上見はこのように写る。
この写真は上から光らせるストロボが発光しなかったことで暗めに写ってしまった写真である。体側にどれほどの外光を持っているかわかりやすい写真になった。
体側にはラメ状の鱗辺の輝きを見せるが、この管理名”プラチナ”には、一切、ラメ系統を交配していない。
この管理名”プラチナ”が今後、どのような変化を見せていくのか?楽しみである。
この個体は中里さんの累代繁殖されている幹之メダカの中にいた一匹で、中里さんは、管理名を”ピンスポット”と呼んでおられる。
「この形質は遺伝の可能性は低いんだけどね!?」と中里さんは言われる。
何が”ピンスポット”なのか?と言えば、しりビレ基部、各軟条の付け根にある小さな輝青色のスポットが並ぶ部分である。
こちらからの写真では判りにくいのだが、この写真では、しりビレにべったりと乗った輝青色の濃淡がわかるので参考に載せておくことにする。
手前のメスが”ピンスポット”、後方のオスが”プラチナ”である。これは中里さんがやっていることではなく、撮影用に頂いた二匹が産卵行動を見せただけだが、この交配も面白さがあると言えばある。
中里さんの幹之メダカは、12年で45世代進んでいる。f45ということになる。継続すること、そして細部に渡って観察すること、それが中里さんの作るメダカの凄さの基本になっているのである。
これからメダカの本格的な産卵シーズンに入る。今年、殖やそうと思っているメダカをしっかりとした管理と観察で、新たな表現のメダカを作られる愛好家が出てくることを期待している。