“紅薊”から出てくる楊貴妃メダカに酷似したメダカ
この個体は、ブラックリム系の代表品種である“紅薊”から出た、楊貴妃メダカに非常に良く似たメダカである。
楊貴妃メダカそのもの!と言えるかもしれないのだが、それは、この個体群で採卵、仔魚を成長させてからの話しになるだろう。
“紅薊”は、広島県福山市在住の神原美和氏が命名されたブラックリム系のメダカである。
その“紅薊”の元親は、広島県福山市在住の瀬尾開三氏が作られたもので、この瀬尾さんが、現在、“紅帝”と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統を作られた方でもある。瀬尾さんは『メダカ百華第5号』、『メダカ百華第6号』で、神原さんは、『メダカ百華第3号』、『メダカ百華第8号』で、それぞれ二度、登場していただいている。
この瀬尾さんの作られた“紅薊”の元親に、“紅帝”と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統の血統が含まれていた可能性は高い。
それが、時として、先祖返りのように稀に楊貴妃メダカに非常に良く似たメダカが出現するのである。
写真の個体は、静岡県浜松市にある『猫飯』がヤフーオークションに出品されたもので、「朱強!楊貴妃(紅薊系)メダカ」として年末に出品されたものであった。
池谷氏に電話で話を聞くと、「朱赤色っていう点では相当、赤いでしょ?」と言われていた。
そこで福山周辺のメダカに詳しい、『栗原養魚場』の栗原氏に話をうかがうと、やはり“紅薊”から楊貴妃メダカに非常に良く似たメダカが出現するとのこと、そして、「その赤さは濃い」と言われた。
『栗原養魚場』の作る“紅帝”の赤の濃さは周知のことだろうが、その栗原氏が「赤い」というのだから、間違いはない。
中には、赤さの薄い個体も出てくる。
手前が赤の濃い個体、奥が赤さの薄い個体である。
特に背ビレ、しりビレの濃さは目を見張るものがある。
“紅薊”からブラックリム系の血統が外れることで、このように先祖返り的に楊貴妃メダカに非常に良く似たメダカが出現すると考えるのが正解に近そうである。
この中から、より朱赤色の濃い個体だけを選抜して、採卵してみたい。
このメダカを撮影していて、「5、6年前まではこれぐらい朱赤色の濃い楊貴妃メダカっていたなぁ…」と感じたのも事実。今は楊貴妃メダカの朱赤色の濃さを追求しているメダカ愛好家はかなり減ってしまったが、改良メダカの原点の一つが、この楊貴妃メダカで「より朱赤色の濃いものを維持する」というものである。
まだ今年の10月第四日曜日に行う予定の『第2回 F1(今年はF2のメダカでの競争)グランプリ』で、遊び心をもったコンテストも開催する予定であるが、そのコンテストの一部門に「楊貴妃メダカ…どれだけ赤いか?コンテスト」をやる予定である。
楊貴妃メダカをはじめとする朱赤色で勝負するメダカは、やっぱり魅力的なのである。