アルビノメダカ 1

アルビノメダカについては、『メダカ百華第8号』で佐藤昭広氏がカタログページ以外に2ページで記事を書いてくださった。

佐藤氏はグッピーを中心にアルビノの魚類についての知識が豊富で、当然、メダカについてもいち早く、アルビノメダカを入手されておられた。

メダカのアルビノの登場は、熱帯魚や金魚、錦鯉など、他の観賞魚よりもかなり遅く、観賞魚として流通するようになったのは2000年前後の頃だった。当時、佐藤氏はアルビノメダカをペア数万円で購入し、屋内の小さなガラス水槽で飼育されていた。卵は比較的すぐに採れたが、孵化した針子の育成は順調にはいかなったと記憶されておられる。

こちらは佐藤昭広氏の写真である。

このアルビノメダカは、改良メダカの初期の愛好家によって盛んに使われたこともあった。

「アルビノを使うと白色が綺麗になる…」と言った都市伝説的な話が当時は多く、遺伝的な知識のなかった先人は盛んにアルビノを交配されたこともあった。その影響は今でも、意外な品種からアルビノが突然出てくるという部分で残っている。もちろん、アルビノメダカの場合、トランスポゾンという転移因子があるため、「アルビノを使うと突然変異が出やすい」という部分は否定できないところである。

こちらは垂水政治氏の写真である
このアルビノメダカ、『メダカ交流会in愛媛』の会長、垂水政治氏が昨年末にハウスネームを発表された“王妃”で、ヒレ光を持ち、ラメ鱗、体外光を持つメダカである。

アルビノメダカは、メラニンの生合成に係わる遺伝情報が欠落していることによって、先天的にメラニンが欠乏するという遺伝子を持ち、黒色色素が欠乏している。だからアルビノ独特の色合いをしているのだが、このアルビノの遺伝子は黒色色素だけでなく、黄色色素の色調も淡くする。そして、白色色素の発達を良くする部分も持っている。
ただ、黄色色素の色調を淡くするが、欠乏している訳ではないので、アルビノメダカに色を入れることは可能である。

そして、アルビノ幹之のように、アルビノメダカでも虹色色素はあるので、幹之メダカ特有の体外光を移行することは出来る。

ブドウ眼アルビノの銘品種 “かぐや姫”は、楊貴妃透明鱗光体形の一型 “紅(くれない)”が交配されていることから、透明鱗の遺伝子がアルビノメダカに移行され、白色色素の発達を良くする部分を弱めたため、黄色色素が強調され、朱赤色が目立つようになっている。

こちらは普通体形のアルビノメダカである。

この2匹は、アルビノなのだが、リアルレッドアイでもブドウ目でもない赤目を持っている。

メスはリアルレッドアイである。

“アルビノ楊貴妃”として入手したのだが、体側後方にグアニン層がわずかに見えており、尾ビレの上下端や背ビレの色合いから楊貴妃だけではなく、琥珀メダカの血統も持っているように思える。ただ、楊貴妃メダカと琥珀メダカは表裏の関係にあるので、このヒレの色合いからそう断言は出来ない。

ブドウ目でもなく、リアルレッドアイでもない、アルビノなのだが、恐らく、リアルレッドアイの血統が強く、普通体色のメダカを何度か交配したことでリアルレッドアイのアルビノ性がやや弱まっているのであろう。

メスはやや頭下がりの傾向があるので、このオスを他の品種と交配しようと思っている。

“紅薊”系か?透明鱗三色か?“女雛”か?それとも“バタフライ”か?アルビノ血統をどう使うか?楽しみである。

さて、これまでのアルビノメダカの作り方について、『メダカ百華第8号』で佐藤昭広氏が大切なことを書いてくれていた。その最後の部分をここに掲載しておこう。

●アルビノの品種作出で注意すべき点

 子の世代でアルビノが得られると、早くたくさんのアルビノを得たい、ということでアルビノ同士を交配しがちだ。しかし、そこから得られるアルビノは、表現的にはまだ単にアルビノであるというだけで、品種としての特徴が表現されていない場合が多い。そうした中途半端な表現の個体を量産しても、親として使用する数以外は必要のないものとなってしまう。ある程度表現が固まるまでは、アルビノ同士の交配は我慢したほうがよいだろう。
 それともう一点は、アルビノと普通目の針子は分けて飼育するという点に注意していただきたい。孫の世代でアルビノが得られたとき、孵化したアルビノでないメダカをそのままで飼育すると、どうしてもアルビノは成長が遅れがちになり、うまく成長させることができない。ある程度のサイズにまで成長すれば同居させても問題はないが、孵化してからしばらくは、アルビノはアルビノだけで飼育し、エサを十分に食べられる環境づくりに務め、がっちりとした体格のアルビノメダカの育成を目指したい。

 佐藤氏の書かれたように、アルビノと異品種を交配することで、F1でもF2でも普通体色の個体が生まれてくる。その中には普通体色のものでもアルビノヘテロの普通体色の個体も同時に出てくる。そのアルビノヘテロの中から特徴的な色柄を持っているものはハネずに次期種親に使うことを心掛けていこうと思っている。

1 thoughts on “アルビノメダカ 1

  1. otti より:

     お世話になります。メダカ百華と合わせてブログを読むと、理解が深まります。私も今はアルビノブームです。ありがとうございました。

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