女雛
女雛というと、どうしても柿色の頭赤で体が黒というイメージを持ってしまっている。ただ、その姿は初めて実際に見た女雛がその表現だったのと、メダカ百華で大きく紹介された個体がその表現だったことが大きい。その後、各所で多くの女雛を見てきたが、むしろ頭赤の表現は少なく、それ以外の表現が多岐に及ぶこともよくわかった。
そこで女雛の作出者である垂水政治氏にお会いし、「女雛とは?」をお聞きしたところ、垂水さんご自身の思い描く女雛とは、やはり柿色の頭部で黒い体を理想とされていた。しかし、「柿色の入り方の表現は、それぞれの人の好みで違っていい」と、頭赤でなければならないというものではないと言われていた。人によって黒い頭だったり、部分的に赤が入ったりと、好みの表現は様々で問題ないのである。ただし、女雛は柿色表現にこだわって作出された品種であることから、どんなに少量でも、柿色が入っていることが女雛のこだわりとされておられた。
さて、ここに20匹ほどの女雛がいる。
これをオスメスの確認をしながら、1匹1匹を見て、採卵用の個体を選ぼうと思う。
オス しっかりとした柿色を頭部中心と背ビレ前付近と段柄に持つ個体。ちらりとラメの輝きが見える。
オス 頭部から背ビレ前まで柿色に染まる個体。赤勝ちな姿である。
オス 柿色の範囲は前の個体と同じようだが、体の黒の上に乗っているのがよくわかる。胸ビレにも柿色が乗るが、やや顔つきが丸い。
オス 目から口先にかけては柿色が入らず、ぼやっと体に広がる個体。
オス べったりとした乗り方ではないが、口先から背ビレ前まで柿色を見せる個体。
オス 頭部には柿色がまったく入らず、体にぼやっと広がる。背ビレに入る柿色がポイントになっている。
オス これも頭部には入らないが、体全体が柿色に染まる個体。
オス ぽつんと点状に柿色が入る個体。面積は小さいが、これも女雛の範疇である。
オス これも範囲は狭いながらも、段柄に柿色が入っている個体。
メス 体も黒く、厚みのある柿色も頭部から体半分ほどまでしっかりと入る見応えある姿をしている。少々、口先が短いか。
メス 前の個体に比べると柿色が薄め。その分、黒い鱗目がよくわかる。これも綺麗な表現である。
メス よい色味をしているが、少々痩せ気味。頭でっかちな体つきになってしまっている。
メス こちらも柿色と黒の鱗目がよくわかる個体。胸ビレの色味もよい感じである。
メス これも同タイプ。体前半部が柿色に染まる表現がメスに多かった。口先の長さがもう少し欲しい感じ。
メス これも配色はよい感じであるが、顔つきはもう少しシャープになってほしい。
メス 頭部には柿色がまったく入らないが、体後半は尾ビレまで柿色の個体。
メス 柿色と呼ぶには少々薄い。ラメも比較的多く入っている。
女雛を作るためにはラメは邪魔になる。女雛と夜桜は兄弟関係になるが、柿色を追求した女雛、ラメを追求した夜桜となるので、自分は女雛作りにはラメはいらないと考える。
メス 範囲は狭いが、スポット状に柿色発色を持つ。ただし、この個体もラメが比較的多めであるため、親からは外す。
メス 濃い柿色が口先から背ビレまで入る目立つ個体。目から口先まで長いシャープな顔つきが好きなタイプであるが、これもラメがチラホラと見える。
このような感じで、似たタイプはいるものの、表現は様々である。どれも柿色は入っているため、女雛の範疇には入る姿をしている。さて、どれを親にしようか、じっくりと眺めながら決めていきたい。