横浜観魚会 第109回品評大会
お約束のように週末になると台風がからんできたり、会場である横浜南部市場にショッピングモールなどの複合施設のオープンイベントが被ったりと、直前になってなんかバタバタとして今回であったが、雨も開催中にはまったく降ることはなく、イベントによる道路の渋滞も、あらかじめアナウンスをしたおかげか大きな混乱もなく、一安心したものであった。
「早く来るよう知らせてもらったから、早めに来たよ」、「全然渋滞なんかしてなかったよー」と反応は様々であったが、早めに会場に着く分にはよしだろう。皆さん、魚好きな方達である。時間があればらんちゅうやらメダカやらと話は盛り上がる。1年ぶりに会う方などもおり、あっという間に時間は過ぎているようであった。
そうこうしているうちに受付が開始される。
次々と魚たちが控え池に入れられていく。仲間が連れてきた魚は気になるもの。受付の時点で採点しあうなど楽しげである。
東錦部門があるのも横浜観魚会の特徴である。参加人数はらんちゅうに比べるとまだまだ少ないが、その美しい姿に人目は集まる。
そして、矢作会長による開会宣言で大会が開始された。
「みんなで笑顔でやっていきたいので、楽しんでいってください」との言葉通りに、笑顔と笑い声の絶えない一日であった。
審査が開始される。
控え池から審査だらいへ次々と運び出されていく。この審査中は笑い声はなしである。審査のかけ声だけで、ピリッとした雰囲気である。テンポよく審査は進み、まず二歳、そして当歳魚、最後に親魚の番付が確定し、展示だらいへと並べられる。
親魚審査
親魚 東大関 三宅雅也氏
親魚 西大関 田村 智氏
二歳魚審査
二歳魚 東大関 三宅雅也氏
二歳魚 西大関 齋藤一成氏
当歳魚審査
当歳魚 東大関 瀬野正樹氏
当歳魚 西大関 鈴木友来氏
昨年の賞魚をしっかりと育て上げていたり、毎年、産卵させた卵を育て上げて各地で勝負を繰り返していたりと、友人でありライバルでもある仲間だからこその熱い戦いをされている。そんな様子を本人たちだけでなく、周りも巻き込み、楽しみながら戦っている。だからこそ、お互いを讃え合い、笑い声が響くのがこの会の良さでもある。
東錦の審査も同時に行われる。
親魚 東大関 中根俊彦氏
二歳魚 東大関 高瀬有三氏
当歳魚 東大関 高瀬有三氏
横浜が発祥の地となる関東東錦。だからこそ横浜観魚会で品評会が行われている。まだまだ飼育人数は多くはないのだが、らんちゅうにはないその独特な美しさは飼っていない人の目も奪っていた。研究会時や売り立て会の際に手に入ることから、「やってみようか」という声も聞こえてきた。
番付が確定した魚は展示用の洗面器へと運ばれるのだが、すべて揃うまでは立入禁止になっていた。それが開放されると、あっという間に人だかりである。
もちろん、役魚と呼ばれる上位の魚も話題になるのだが、三等の前頭にも見るべき魚は数多い。それぞれが番付に関係なく、自分好みの魚を見つけては、仲間と語り合ったり、その魚の持ち主と話したりしている。飼い主もその魚を今後どうすればさらに上にいけるかのアドバイスをもらうなど、撤収まで話は尽きない。
で、この日は自分も魚を2匹連れていってはいたのだが…
1匹は溜め池をのんびりと
もう1匹はなんとか前頭五枚目の洗面器に
右の魚が自分であるが、実は本命は先の溜め池の魚。家ではそれなりの泳ぎをしていたのだが、この日の審査だらいでダメな動きをしてしまった。逆に前頭になった魚は泳ぎに心配があったが、結果としてはこちらが上になった。泳ぎの練習が足りなかったようである。
撤収作業、そして表彰式で締めである。
仲間の成績を讃え、拍手で包まれる。参加する誰もが丹誠込めた魚を連れてくる大会の場である。戦いの場であるが、終われば相手の成績を祝福し、笑い会う。そんな楽しみが参加しているとよくわかるのであった。
魚を連れていったり、なんだかんだとただ撮影するのとは比べものにならないバタバタ感もあるのだが、笑いながら無事に終わってなによりな一日であった。