屋上でメダカ飼育

東京や神奈川などの首都圏に住むメダカ愛好家にとっては、飼育場を確保することで悩んでいる方も多い。ベランダに工夫して数多くの容器を並べたり、路地などを利用している方などもいらっしゃった。この日見せていただいた阿部さんは、ご自宅屋上にプランターを並べてメダカ飼育を楽しまれている。自動車修理関係のお仕事をされており、1階が仕事場、その上にご自宅があり、その屋上が飼育場という理想的な環境である。

防水加工を施された屋上に、40リッターのプランターを中心に100近い容器が並ぶ。
ブルーのネットが掛けられているのは鳥除けで、オナガがメダカを獲ったり、カラスが水浴びするのを防いでいる。

周囲三方は戸建て住宅なので、この屋上は遮られるものがなく、風通しはよいものの、それこそ日の出から日没までほぼ一日中、太陽光が当たる。そのため、近頃の夏の陽射しではあっという間にお湯になってしまうそうで、つい最近まではよしずを上に並べていたそうだ。水換えの排水などは隅の方で行うが、そこも作業中は遮光ネットをかけていたそうだが、「この暑さは無理ですね。ちょっとメンテナンスをさぼり気味でした」と苦笑いされていた。

下のプランターの幅に合うような桶を配置し、回収した産卵床を上に移動して管理されている。

屋上で蓋なしなので、雨が降れば雨水は入り放題である。あまりに大雨の時は、止んだ後に水換えをするそうだが、基本的には状態を観察しつつ、自然管理されている。やはり雨水が入りすぎるのはよくないとされ、特に大きくなった個体の所は気にされるそうだ。

阿部さんが得意とされている品種にアルビノがあげられる。内臓まで透けて見える全透明鱗のシースルーアルビノや、琥珀アルビノなどを作出維持されておられる。阿部さんの飼育歴は10年ほどになるが、初期から維持されている品種と、新たな姿を求める交配との二本立てでメダカを楽しまれておられる。

日本メダカ協会の第10回春季日本メダカ品評会のヒレ長部門で第一席を獲得したアルビノ体外光ヒレ長

認定番号第二十九号として新種認定もされたお気に入りの品種である。中里良則氏の幹之ヒレ長を4年ほど前に導入し、そこにお得意のアルビノ化を進められており、他にも中里氏の青ラメ幹之“星河”のアルビノヒレ長化も作られている。

そして今、最も気にされているのはアルビノ幹之に色を入れる作業であった。まだまだ現在進行形ではあるが、着実に表現は見られるようになってきていた。

アルビノ琥珀とアルビノ幹之から累代している系統で、体外光を見せつつ、頭部に黄色が固まりつつあった。
そして、もう一系統が三色とアルビノ幹之の交配系。

体後半部に黄色発色を見せる個体が得られていた。どうしても体外光は弱まるが、この個体を軸にと楽しまれていた。

もうひとつ、全身体内光もお気に入りの品種である。それを独自の選別で様々な姿にされていた。
全身体内光黄体色

黄色っぽい体色の個体を選び、F3まで進めてここまでの個体が現れた。小寺系の全身体内光にスーパー体内光タイプのアルビノを交配した系統で、アルビノ因子持ちになる。

こちらはアルビノの全身体内光

オスはアルビノ全身体内光で、メスはアルビノ因子を持つ全身体内光を使われていた。アルビノ同士では体内光の表現があまりよくないと感じられ、交配を考えておられた。

黄色とは別に黒っぽい体色のタイプを固めているもの

全身体内光は体形や顔つきの乱れが出やすいそうで、その辺りの選別はしっかりと心掛けておられているそうだ。

こちらは体内光系の変わり種。ヒカリ体形で、一見すると体内光系に見えない魚であった。

左のメスの尾筒に体内光が確認できる。オスは古い品種であるシルバーヒカリのような表現であった。全身体内光にスーパー体内光を交配したものだが、ヒカリ体形によくある体形の乱れがかなり出るそうで、苦労されているようであった。

三色などの柄物や紅白など派手な色合いのメダカはほぼいないといっていい阿部さんの飼育場。「柄物は友人がしっかりやってるし、他の人に任せて、僕はアルビノを」と以前にもお聞きしていたが、世間の流行りなどは関係なく、あくまでご自分の興味あるメダカを追求されている。お店に行くと「もっと売れる品種やらなきゃ」と言われたそうだが、そこは信念を曲げない阿部さんがおられた。

屋上でメダカ飼育” に対して1件のコメントがあります。

  1. ナンシー より:

    この更新記事の掲載される、めだか百華は来年以降になりますか?

    1. 株式会社ピーシーズ より:

      『メダカ百華第8号』は今年11月までには刊行いたします!

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