オカヤドカリを飼う! 1

今年、飼育を再開したオカヤドカリ、

当社では、プロファイルシリーズで、オカヤドカリの本を一冊持っている。

当社の出版物の中でも息の長いロングセラーの一冊なのだが、この本には自分は編集に参加しなかったこともあり、「オカヤドカリの飼育、繁殖を本気でやってみたい!」と前々から思っていたのである。

本来なら、今春に八重山諸島に一週間ほど滞在して、オカヤドカリの生態をじっくりと撮影しようと思っていたのだが、メダカ取材で断念(汗)

飼育しながら、色々と細かい点を学んでいくことにした。

オカヤドカリは、熱帯域に広く分布するヤドカリの仲間で、和名の通り成体が海岸付近の陸上部で生活する甲殻類で、実は日本に生息するオカヤドカリ全種が、国の天然記念物に指定されている。

オカヤドカリの仲間は全世界で15種が知られており、日本では以下の7種が確認されている。
オオナキオカヤドカリ C. brevimanus(C. hilgendorfiはシノニム)
オカヤドカリ C. cavipes
コムラサキオカヤドカリ C. violascens
サキシマオカヤドカリ C. perlatus
ナキオカヤドカリ C. rugosus
ムラサキオカヤドカリ C. purpureus
オオトゲオカヤドカリ C. spinosus

天然記念物に指定されたのは、1970年(昭和45年)に、小笠原諸島におけるオカヤドカリの個体数の減少を受け、天然記念物に指定されたと言われている。この経緯については、オカヤドカリが本州にはほとんど生息していないという物珍しさだけで指定を受けたのではないかとの指摘もあるそうだ。

その後、1972年(昭和47年)に沖縄県が日本に返還された時点で、南西諸島のオカヤドカリも天然記念物の指定を受けることになったが、当時の沖縄県などではどこにでもいるありふれた生物として認識されており、釣り餌として人気があったことなどから、専門の捕獲業者もいた。その後、天然記念物として厳格に保護するほどに個体数が少ないわけではないと言う事情もあったために、業者保護の目的で、一部地域の指定業者に限り、量を限定することで捕獲が認められるようになった。2019年現在、オカヤドカリは観賞魚販売業者などを通じて主にペットとして購入することができるが、これらは上記の指定業者によって捕獲された個体がほとんどである。

沖縄県や小笠原諸島などを訪れた旅行者が砂浜からオカヤドカリを直接採取してしまうことがあるが、これは法律(文化財保護法)に反する行為となる。許可を得た捕獲業者が捕獲すること、およびその業者を通じて小売業者がオカヤドカリを販売すること、また消費者が購入することは違法行為ではない。

ペットとして夏には多くが流通するようになるのだが、天然記念物を飼育するという部分以上に、オカヤドカリが長寿な甲殻類であるということをもっと広く認識してもらいたいのである。正確な寿命は不明ではあるが、オカヤドカリの寿命は25-30年にもなるといわれているのである。

一昨日、観賞魚問屋に新たに沖縄からオカヤドカリが入荷するというので、飼育するオカヤドカリを選びに出向いた。

種類としてはナキオカヤドカリ、ムラサキオカヤドカリ、オカヤドカリの三種が混ざっているので、その中から、各種の特徴がある個体、各種の雌雄を選んだ。

オカヤドカリ類の飼育には過密飼育は不適で、パウダー状のサンゴ砂を敷き、いつでも水が飲めるように皿に水を入れ、その水場からすぐに出られるように流木を入れておいた。

オカヤドカリは陸上生活に適応するため、貝殻の中にごく少量の水を蓄え、柔らかい腹部が乾燥するのを防ぎ、陸上での鰓呼吸も可能となっている。しかし定期的な水分補給や交換が必須で、オカヤドカリは水辺からそれほど遠く離れられない。「陸上生活をしているのだから水はいらない」そう思われ、水を与えられずに渇きで死んでしまう飼育下のオカヤドカリは、毎年、とんでもない数になるように思われる。

また、餌についても、幅広い雑食性と言われているのだが、飼育下では、新鮮な餌を常時、入れ替え、そして汚れたら底床を清掃することも不可欠である。

どんな生物でも水換えや給餌、トイレの清掃など快適な空間を作ることが飼育者の務めなのだが、オカヤドカリは、より強健に思われがちで、ほったらかしにしてしまう飼育者も少なくない。

そういった部分を、一冊の本で紹介していきたいのである。

これは真鯛の湯引き用の刺身で、この刺身をオカヤドカリ用に購入して、オカヤドカリに与えた残りを人間が食した(汗)。

左が湯引きしたもの、右が刺身のままで、どちらを好んで食べるか?を観察してのである。

こちらは新鮮なシラスで、これも小さなオカヤドカリから大型個体にまで与えてみた。

それぞれの個体に個性があり、人に慣れるという生物ではないかもしれないが、飼育下での繁殖成功例が記載されたブログも知られており、是非とも、そこまで持っていきたい!

オカヤドカリの飼育はまだ再開したばかりである!

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