西へメダカ取材 1日目その2 静楽庵へ
初日の締めは静楽庵である。このGW中は「第53回めだか狩り」というイベントが行われているのだが、そのお忙しいはずである初日にお邪魔させていただいた。
到着したのは13時過ぎになった。購入する気で訪れる方はやはり早い時間から訪れるため、午前中の方が混んでいたそうだが、この時間でも何組ものお客さんが訪れており、その後も閉店時間まで途切れることはなかった。その中には昨年お邪魔させていただいた広島福山の方々の姿も見られ、半年ぶりにご挨拶ができた。皆さん熱心にメダカを吟味されており、「誰がこれ買う?自分はこっちにする」といった具合に無邪気に楽しまれている姿を見ると、本当にメダカがお好きな方々なのだと感じられる姿であった。
こちらは業販コーナー。比較的大きな舟に複数匹のメダカが入っているのだが、付けられている価格は1匹の単価ではなく、その群れすべての価格設定になっていた。「箱買い」のイメージである。中には単価だと勘違いしているお客さんもいたが、確かにこのメダカなら1匹でもこういう価格になるかと思える姿であったが、そうではないということに驚かされた。すでに半分ほどの舟は空になっており、朝イチのラインナップがどれほどのものだったのかと気になった。このコーナーは直接見ることでしか購入できないのだが、観賞用にしろ、繁殖の種親用にするにせよ、訪れる価値は十二分にあると思えた。
こちらは通常の販売コーナー。ここにもさまざまなメダカが入っており、お客さんがじっくりと吟味されていた。その近くには静楽庵のスタッフが控えており、質問に答えたり、品種の説明や飼育のポイントを丁寧に説明されている姿が印象的であった。
このコーナーも自分らが着いた時点では、すでに空きの方が多くなってしまっていた。その横にはひとり10匹までという制限があるものの、1匹100円というコーナーがあった。その中のメダカはもちろん静楽庵産である。すでに中身は空で閉められていたのだが、どんなメダカでどれだけの人が集まったのかと、気になってしまった。
静楽庵はメダカ飼育用の器具類も豊富に取りそろえていた。
入れ物から餌、小物まで、1から10まで揃っている感じである。その中でも網は大切なひとつとされており、オリジナルサイズも作成されていた。
メダカ愛好家がよく使っているNV-BOXというケースがあるが、今までの網では小さかっ
たり大きかったりとしていたが、ちょうど短辺に合うサイズで作成され、これならひとすくいですべてを掬い出すことができるようになっていた。
接客から器具の紹介など、お客さん目線に合わせるように工夫されているのが強く感じられた。
庵主である倉内良彰さんは「今、メダカがブームと言われるけど、まだまだだと思います」とおっしゃられていた。ブームというのはそこが頂点になっていて、後は落ちていってしまう。まだまだメダカの世界は広がるだろうし、さらに広がり、ひとつの産業になってほしいと考えておられた。そのお考えが、販売の仕方や年6世代進める品種改良に反映されているのだと思えた。1年に6世代を進めるということは、2ヶ月サイクルで進めるということで、気温が低くなる時期の保温は必須である。その燃料代だけでも数十万単位となるが、それだけの取り組みをされているからこそ、他よりも先を行く速度で改良を進められている。今までは自分も画像などで見るだけであったが、今回、生で静楽庵のメダカを見て、その販売の様子に触れたことで、メダカ界のトップランナーの姿を実感できた。
もちろん、たくさんのメダカたちを見せていただいた。
三色ラメ幹之
三色幹之では墨が弱点とされていたが、だんだんとよい表現になってきているそうだ。
見たメダカたちはどれも素晴らしいものであったが、それらに満足せず、常により上の表現を目指しておられた。
三色幹之からの三色ラメ体外光
ぐっちゃりと出てきた様子に驚かされた。これらも墨や体外光、朱色の濃さなど、ポイント別にされていた。これだけの数を撮影…目眩がしそうだったが、どの個体も素晴らしく、撮り続けてしまった。
朱色が赤茶っぽい色合いになりがちであったが、べったりとした赤の表現にできたとされていた中の1匹。実際、その濃さには納得させられた。
オーロラ黄ラメ体外光
非常にバラエティに富んだ姿である。バケツにまとめて持ってこられた時に、「これはなんとなにですか?」と複数品種入っているものと思い聞いてしまった。その中からタイプ別に5匹を拾ったのがこれだが、どれも魅力的な姿をしていた。他所でもこの品種は見ていたが、そこもまた別の表現がいた。このバラエティの広さはどれだけ広がるのか、ちょっと追ってみたくなった。
こうした代名詞的な品種の他、表現を固めるためや新たな品種など、開発途中のメダカも見せていただいた。現状、完成したような美しい個体を山ほど見せていただいたが、それに満足せず、さらなる改良を進める静楽庵。また次に訪れた際には、さらなる進化したメダカを見せていただけるだろうと楽しみであった。