改良メダカ “オロチ”
昨年、飛鳥メダカの谷國昌博氏が作出、リリースされ、一気に注目を集めたブラック系のメダカが “オロチ”である。
名古屋大学が発見した黒色のメダカが門外不出で維持されていたのが、ブラックメダカの最初であるが、そのメダカは東山動植物園で大切に維持されていた。
趣味の世界では、『めだかの館』からスモールアイを持ったピュアブラックメダカが発表され、体色の黒さが様々なメダカで追求され、普通のブラックメダカ、“小川ブラック”などがマーケットを賑わせたのである。
ブラックメダカは屋外で飼うことで体色の黒さが増すものが多く、室内飼育では黒さが抜けてくるのである。
しかし、この “オロチ”、室内飼育でもこの黒さになるのである。このモデルとなった“オロチ”は、神奈川県川崎市在住の中里良則氏が完全室内で繁殖させ、育成した個体である。
全く太陽光を浴びないで、この黒さになるのが“オロチ”なのである。
こちら“オロチ”のオスである。
こちらは“オロチ”のメスである。オスよりやや体形に難があるが、“オロチ”の欠点の一つに骨格の悪さがあるので、その中ではしっかりと出来たと言えるだろう。
雌雄ともにこの“オロチ”からは目が透明鱗メダカと同等の表現を見せるが、他の部位からは透明鱗の血は感じにくい。幼魚期には透明鱗の個体が出てくるようだが、そこにマダラ状に黒色色素が発色し始め、体全体を埋めるようになる。色素の位置関係も関与しているだろうが、透明鱗メダカとは似て非なるものと考えたい。
“オロチ”といっても、固定率が100%のメダカではなく、ペアによって様々に分離し、透明鱗が出る組み合わせもある。屋外で太陽光を浴びているとその特徴が見分けにくくなる面もあるかもしれない。
要は“オロチ”と呼ばれる品種は、各ヒレにしっかりと黒色が乗り、顎下から腹面にもしっかりと黒色が乗ることが大きな特徴と言えるだろう。
ここに色が乗る通常の透明鱗って考えにくいのである。
“オロチ”のアップである。唇の下から腹面までしっかりと黒いことがよく判る。
この“オロチ”の持つ黒さは、これまで解明されている遺伝子から言えば、Va(Variegete)が説明しやすい。
Vaは、ブチとは異なり、黒色素胞が大型になり、生理的反応のないものと、正常に近い生理的反応をする黒色素胞が混在するというものである。生理的反応とは、周辺の明暗によって体色を暗化させたり、明色になる反応のことである。ただし、このVaは要注意を必要とする常染色体上の遺伝子である。そのため、Vaを揃えれば良いと言うものではなさそうである。
この生理的反応のない黒色素胞が多ければ多いほど、“オロチ”らしいと言えるかもしれない。もちろん、全く新しい突然変異が生じている可能性もあるが、基本、色素胞に関する遺伝子はほぼ解明されていると言えるので、その中から考えるのが無難である。
もちろん、新たに黒出目金のように沈着する黒さを獲得した可能性もあるし、メダカにメラノーマが現れた可能性も残されている。動く遺伝子と呼ばれるトランスポゾンは、パンダメダカや透明鱗に起因するものが少なくとも一つはあるし、その可能性もなくはない。
現在、異品種交配によって、“オロチ”の遺伝子がどのように遺伝して、どのように分離するか?を中里氏が検証しておられる。どうやら、この黒くなる遺伝子は優性でありそうである。
たった黒色一色のメダカがこれだけメダカ愛好家を夢中にさせる、それだけこの“オロチ”は、ネーミングも良いし、またその見事な真っ黒な体色に魅力があると言うことであろう。
この黒色の強さ…異品種交配によって、全く新たしい表現を獲得する高い可能性を持っているかもしれないのである。
メダカ百華第4号ではこの“オロチ”についてガッツリ書いていくつもりである。
fmbさん
こんにちは😃改良メダカのオロチ先日知り合いのメダカ愛好家の方も言ってました。眼球まで黒くないとダメとか言ってましたね。皆さんいろいろ苦心して改良なさっているのでしょうね。
【藤蘭】