冬磯の縞魚たち
春一番や桜の開花情報のニュースが聞かれるようになり、気温も上がってきた。花粉も飛びまくり、春だと実感する。
磯の方も、干潮の時間がだんだんとズレていき、引き方も甘くなってきた。こちらも冬から春へと変化している。
冬の代名詞的なダンゴウオなどの姿は見えなくなり、先月には小さな稚魚だった魚たちが、しっかりとした姿を見せるようになってきた。そんな中で目立つのは縞模様を持つ魚たちである。魚の場合、頭を上にしての縞の入り方になるので、見た目で縦の模様は横縞模様、見た目で横が縦模様になる。
オヤビッチャ
くっきりとした横縞模様を持つスズメダイの仲間。磯ではよく見かける種で、活発に泳ぎ回っている。
キヌバリ
黒い横縞が黄色く縁取られており、よく見るとなかなかに美しいハゼの仲間。真冬には1センチほどの稚魚しか見なかったが、5センチほどの若魚に成長した姿を見せてくれた。
タカノハダイ
斜めの縞模様を持つ。成魚では30センチを超える魚だが、幼魚は磯でよく見かける。5センチほどの個体が多数見られた。
メバル?の子供
ぼやっとした縞模様。見つけた時はタカノハダイの稚魚かとも思ったが、顔の形が違う。どうやらメバルのようではあるが、サイズは2センチ弱。小さいわりに物怖じしない性格をしている。
カゴカキダイ
黄色の地に黒い縞模様を持つ。幼魚では頭の方から斜めに模様がはいるが、成魚では縦縞になる。2センチほどの幼魚がちょこまかと泳ぎ可愛らしいが、20センチほどに成長する。チョウチョウウオのような雰囲気であるが、カゴカキダイ科という別のグループになる。
アカオビシマハゼ
黒い縦縞を持つハゼの仲間。緊張状態では体全体が黒ずみ、模様も見えなくなる。磯では石などをどけた下に潜んでいることが多い。
春が近づくにつれ、個体数が増えたようにも思える。同じ模様を持つシモフリシマハゼと非常によく似るが、名前の通り、本種はしりビレに赤い縞が入ることで見分けられる。
これからの磯はだんだんと昼間の方が干潮のタイミングに合うようになる。出会える生き物も季節と共に変わっていき、新たな出会いが楽しめるだろう。