トウキョウサンショウウオ

気温も上がり、花粉も飛び交うこの頃。早春の里山へと出掛けた。
目的はトウキョウサンショウウオである。
越冬明けした早春に産卵行動を見せることが知られ、雨の日が続いた後、気温もそこそこあるという良い条件の夜であった。
山間部ではあるが、民家からもそれほど離れていない場所で、田んぼ周りの水溜りや側溝などを見ていった。使っている田んぼの溜まりは、前日までの雨が溜まっているのだろう。ここでは期待できない。休耕田の溜まりがあれば、ここは!とくまなく見るも、簡単にはいかないものであった。
そうこうして場所を変えながら探し、山肌下の細い側溝でついに発見

トウキョウサンショウウオのオスであった。
生体の姿を見れば、テンションも上がる。
ひたすら懐中電灯片手に探すと、卵嚢も発見。

バナナの房のような卵嚢の中にたくさんの卵が入っている。この中で2ヶ月ほど成長し、ウーパールーパーのような幼生の姿で出てくるのである。
どうやらここで集団産卵が行われたようで、表面に複数あるだけでなく、枯れ葉の下にもいくつもの卵嚢が見られた。
同じような環境は他にもあったが、この近辺にまとまって見られたものであった。
その後、山肌から浸み出し、裾に溜まりのようになった場所でもオスを発見

光を嫌うようで、ライトを当てるとすぐに逃げたり、枯れ葉の下へと潜っていってしまうものであった。
トウキョウサンショウウオは普段、林床の堆積物の下や地中で暮らしており、産卵期に水辺へと出てくるの、この時期以外の観察は難しい。産卵行動を見たかったものだが、どうやらもう終わってしまっていたようだ。見つかっただけ、よしとするしかない。
最後にメスも確認できた。

霜降りのような模様を見せる美しいメスであった。お腹も膨れていたので、遅れての産卵組かもしれない。
人里近い生息環境は、開発や農薬の使用などの影響を受けやすい。まだこうした環境があることは安心したが、この先もこうした環境が残っていて欲しいと思うものであった。

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