“ブラックリム(クリアブラウン)”タイプの遺伝を知るために…
今、多くの人気品種にその血統が流れているのが、ブラックリム(クリアブラウン系)、“オーロラ”と呼ばれるタイプである。
これは“クリアブラウン”と呼ばれるタイプで、2008年の1月に九州、長崎在住のメダカ愛好家から送ってもらった個体である。
“クリアブラウン”という呼称が初めて使われたのは、2006年9月のことで、このメダカをリリースされた広島県東広島市にある『めだか本舗』のブログで、「ヒカリメダカ-クリアブラウン-の画像撮影に取り掛かろう…』と書かれたのが最初だろう。
このメダカがリリースされたのは、光体形からで、実はこのメダカがどうやって作られたものなのか?それをこれまで何度も考えてきたのである。
「突然変異」と言ってしまえばそれまでなのだが、このメダカだけは、検証的に戻し交配をしてみても、正体が見えてこない部分があって、いつまでたっても課題として残っているのである。
2007年9月、『めだか本舗』のブログで“クリアブラウン”、“クリアホワイト”、“クリアブルー”、“クリアオレンジ”という体色別の呼称が初めて使われ、雌雄で体色に偏りがあることも書かれていた。これについては、神奈川県川崎市在住の阿部正治氏のメダカで検証済みである。
2007年11月、『めだか本舗』のブログで「1匹目のオーロラ 透明鱗の血は入っていない…」と初めて“オーロラ”の呼称が使われ、2007年12月には、「オーロラ量産中…」という記事もあった。
現在、多くの品種によく“オーロラ”という呼称が使われているのだが、そもそもの“オーロラ”を見たことがない人も多くなっているのが実情であろう。
この“オーロラ”をリリースされた『めだか本舗』の2010年時の紹介文では、
「さまざまな新種の掛け合わせに用いられるこのオーロラメダカですが、この種自身オスが出にくいという特徴はまだ完全には改善されていません。
水温が高いとメスがオス化する可能性もあり、なかなか難しい部分でもあります。それだけ不思議な部分を抱えた子だからこそ、いろんな部分で変異を期待できるのかもしれません。
体の内側からぼうっと光る感覚が新鮮のオーロラメダカ。なぜ頭のところも赤いのでしょうね。なぜ尾っぽのところあたりで表面よりも内側に青さがにじみ出るのでしょうね。
このような部分を改良した新たな個体も出てきます。お楽しみに、です。」と書かれていた。
これは、2008年より『めだか本舗』からリリースされた“ベビーピンク”の呼称があるメダカの累代繁殖個体である。
2008年1月に「本日ひとまず、ベビーピンクメダカ君を商品化させていただきましたー。画像でもお分かりいただけるかと思いますが、かなり、キュート。普通種もいいんですけど、ダルマ系統はかなりキュート。…」と紹介されたメダカである。“オーロラ”の血統が入っているという記述が別の記事にあり、ご覧のように、ブラックリム系統の特徴である鱗辺の暗色の縁取り、オスの腹ビレが黒くなる、尾ビレ基部中央部に黒っぽい部分がある特徴が既に見えていた。
リリース当時からダルマ体形がいたタイプで、この魚たちも半ダルマっぽいところを見せている。
今年はこの発表から11年を経た“ベビーピンク”からも“オーロラ”の秘密を紐解いていこうと思っている。