“銀葥”
プラチナのような青みを帯びた輝きに包まれる幹之メダカ。そのグアニンを強く意識されながら、千葉県柏市にある『めだか夢や』の馬場浩司氏が作られているのが“銀箭(ぎんせん)”である。
“銀箭”は、「青色、体外光、ヒレ光、一周光、胸ビレ光、ヒレ長、光体形」といった形質を持っている。
改良のスタートは2015年、まず幹之の松井ヒレ長に白体色の“月虹”を交配され、F3である程度の形を作られた。それに“緑光”の光体形に幹之光体形を交配した別系統を交配し、松井ヒレ長の光体形である“半月”タイプの緑光を作られた。さらにもう一系統、胸ビレも青白く輝く特徴を持つ幹之の一系統である“サンセット極龍”を光体形化するために“サンセット極龍”×(夢光一周光×黒幹之)を行い、光体形の“SMH”を作られた。そしてこの二系統、“緑光半月”タイプと“SMH”を交配することで“銀箭”が作られた。
5年に及ぶ期間を経て“銀箭”は作られた。その後、本系統そのものが楽しまれるだけでなく、光体形やグアニンの形質を移行させるための交配相手としても重宝される存在になっている。
「“銀箭”は周りの人が有名にしてくれた」と馬場さんはおっしゃる。他の業者などが殖やしてリリースしたことで広まったのもあり、それは“銀箭”を気に入ってくれた人がいたことからだと、評価してもらえたことを実感されていた。光体形であることから体形の選別は必須であるが、厳しい選別淘汰の累代をされてきたため、その品質を評価して交配に使われる愛好家や養魚場も多い。当初は卵が採りにくいと感じたこともあったそうだが、多頭飼育をすることで改善し、その後はクオリティをあげるための絞り込んでの繁殖をするなど、常に品質向上を心掛けられているのであった。