“オロチ”プロジェクト” 12 オロチ×松井ヒレ長黒蜂 F2
昨日は急に寒が戻ってしまったが、ようやく春になり、2018年のメダカシーズンも本格的な季節がやってきた。
先週の火曜日に届いた、一般書店搬入用の『メダカ品種図鑑273』である。
好評を頂いている『メダカ品種図鑑273』も先週末には一般書店さんにも並び始めた。先月が年度末だったため、一般書店への新刊搬入が4月になってしまったが、図書館からの注文もあり、先週は出荷作業でドタバタであった(大汗)書店向けの本には短冊、スリップと呼ばれる、売れた時に本から引き抜く小さなしおりのようなものが不可欠で、それを一冊ずつに挟む作業がこれが大変なのでした(大汗)
東山と共に流れ作業で1000冊にセット(汗)それを50冊ずつ箱詰めして書店取次店に発送した。
終わった次の日は筋肉痛で体が痛いのなんのって(苦笑)でも注文数が多いっていうのはありがたいこと!書店や図書館でこの本を見て、新たに「改良メダカを飼ってみよう!」という人々が増えること、それが本書を作った重要な目標であったので、先週が終わり、東山と共に、ホッとできたのである。
先週の土日は、自宅のメダカ飼育容器の洗浄をしてリセット!撮影用の水槽はガラス水槽なのだが、使っているうちにガラス面に小さな傷が出来るので、これからのメダカ撮影用に新しい水槽に交換!これからほぼ毎晩、メダカの撮影生活が始められるように準備をした。
今月、最初の撮影品種は、神奈川県川崎市在住の中里良則氏が進めているオロチプロジェクトの第12弾!オロチ×松井ヒレ長黒蜂のF2からにした。
F1からは潜性である松井ヒレ長の特徴は隠れる。しかし、オロチと黒蜂の相性は非常に良く、黒さに関しては、他の品種との交配より黒さが強い傾向が見られ、中里さんも「オロチ同士の交配よりオロチ×黒蜂の方がより体色の黒さは良い」という印象を受けておられた。
そして、F2で予定通り松井ヒレ長の特徴である各ヒレが伸長した真っ黒なメダカが出てきたのである。
この個体のヒレを見ると、松井ヒレ長だけでなく、スワロータイプの遺伝子も混ぜられていることが予想できる。
こちらがそのF2個体たちである。このF2を種親にして、すでに中里さんはF3を育成中である。松井ヒレ長同士での交配ならF3はほぼ100%近い出現率でヒレ長の特徴が出てくる。ただ、ここに黒さ、黒の厚みを求めることで、松井ヒレ長“オロチ”の完成である。
この2匹はF2で同時に出てくる松井ヒレ長ではない、オロチ×松井ヒレ長黒蜂である。
もちろん、この普通ヒレのものの中にもヘテロで松井ヒレ長の遺伝子を持っているものも含まれている。
松井ヒレ長の遺伝子をML(Matsui Longfin)とすれば、理論上はML−ML−:ML−ML+:ML+ML+は1:2:1ということになる。(ML−ML−とML−ML+が普通ヒレ、ML+ML+が松井ヒレ長を表す)。
もちろん、この遺伝子式だけでは、オロチの黒さは表現出来ないし、1/4の確率で出現する松井ヒレ長タイプから更に淘汰して、写真のような個体が出来上がるのである。
今年、異品種交配を皆さんに一つは試みてもらいたいと思う。メダカを作るのは簡単そうで、難しい、でも難しそうでも、新たな表現のメダカを作ることは出来るのである。是非、狙った表現のメダカを、種親の選定から始めてみてはいかがだろう?