“オスカー”というシクリッドは、様々な魅力を持つ種で、シクリッドファンのみならず、大型魚や肉食魚ファンにも認知されている人気魚である。その魅力は多岐に渡る。南米産大型シクリッドの代表種とも言われ、古くから東南アジアで養殖された幼魚が盛んに輸入されており、手頃な価格も手伝い、多くの人に飼育されてきた。流通する中心は4cm程の可愛らしいサイズの個体で、黒と赤という派手な配色を持ち、成長過程による体色や模様の変化も楽しむことができる。


タイガー・オスカーの幼魚は、東南アジアで養殖されたものが一年中コンスタントに輸入されており、シクリッドの入門種的存在になる。活発に泳ぎ、すぐに人に馴れるのが魅力でもある。成魚では、黒い体に赤い模様がより派手に現れている。幼魚から飼育し、模様の変化も楽しむことができる。


タイでのオスカー養殖場では、大きなたたき池にたくさんの個体が群泳していた。壁際にはブロックで組まれた部屋がいくつも並んでおり、ペアを組んだ雌雄がここに入って産卵を行う。
 こうして養殖されたオスカーが世界各地へと輸出されていき、日本でも古くから輸入されていた。以前はオスカーと言えばこのタイガー・オスカーがメインであったが、野生個体も輸入されるようになっていった。

黒い体に白色のバンド模様を持つ幼魚がコロンビアやペルーから輸入されるアストロノートゥス・オケラートゥス Astronotus ocellatus
ペルー領アマゾンからアマゾン川本流の上流、中流、サンタレン付近まで広い分布域を持つ原種オスカーで、最も輸入量の多いタイプである。3cmほどの可愛らしいサイズが入荷し、成長に伴い、体側のバンド模様は太くなるが、全体的に赤の発色は少なく、細かなスポット状でまばらに入る程度。背ビレ基底部には赤い眼状斑が並ぶようになるが、大きさや数などバラエティに富む。

15cmほどに育った個体。底砂など水槽の環境にもよるが、体側の白いバンドが明瞭で非常に美しい姿をしている。体側や背ビレ基底に模様が出始めている

30cm近く育った成魚。白いバンドは褐色がかるものの明瞭で、体側の朱点も数多く現れた。背ビレ基底部に並ぶ眼状斑が本種の特徴をよく表している。

 水槽の前に立つと、ガラス面に寄ってきてエサをねだるような姿を見ることができる。その人懐っこさがオスカーの魅力でもあるのだが、手頃な価格とその可愛らしい様子から、思わず衝動買いをしてしまう人も多いようだが、最終的には大型になることや、肉食魚であることなどを考えて、十分な飼育設備を用意し、最後まできっちりと面倒を見ることを心掛けて欲しい。手をかければかけるほど、オスカーは飼育者に馴れ、より美しい姿を見せてくれるはずである。

オスカーの飼育を楽しむため、野生種から改良品種までを豊富なカタログ写真で紹介し、日常管理や飼育法をわかりやすく解説した、飼育の手引き書となる電子書籍になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA