清水金魚の初競り市訪問
冬至を過ぎて陽は長くなってきたが、まだまだ凍える寒さで外のメダカたちはお休み中。そんな中でもメダカ業界はしっかり動き始めている。浜松の株式会社清水金魚では、2023年の初競りが行われた。
清水金魚では、毎月最終木曜日に金魚やメダカの上物市や特選市が開催されており、春と秋に行われる『超特選めだか品評会』には多くのメダカが出品される。春の回では、これから繁殖させる親ものを必要とするタイミングに合わせて行われ、秋はその年に採られた卵が育ち、よいサイズに育ったタイミングで行われている。清水金魚は業者向けの卸商社のため、一般の人は購入できず、参加には登録が必要になる。小売店や卸問屋、生産者などの登録業者が集まり、市場に出品された魚は、参加業者による競売で落札されていくのである。
清水金魚では、出品されたメダカはビニール袋詰めでなく容器に開けられており、じっくりとメダカを吟味することができる。それぞれの容器には、出品者の整理番号、メダカの品種名、出品数が書かれた札が入れられている。
ずらりと並んだ容器には10から50匹くらいが収容され、最新品種から定番種まで、多種多様なメダカたちが出品されていた。真冬の1月ということもあり、春や秋の市場に比べると容器数はさすがに少なかったが、それでも十分に見応えのある数が並べられていた。
話題の品種から定番品種まで数多くの品種が並んでおり、メダカのサイズも様々であった。おそらくハウスなど加温設備で飼育されている出品者のメダカは、即戦力で卵を採れそうな大型サイズも見られた。やや細めのメダカたちは、無加温状態の中から持ち込まれたのだろう。気温の低下と共に餌を切るため、この時期ではしかたがない。そうした個体も調子が悪いというのではなく、気温の上昇と共に仕上がっていく若々しい姿であった。
競り開始前には、参加者による人気投票も行われる。こうした催しも盛り上げに一役買っていた。
もちろん、金魚の出品も多く、色とりどりな姿を見せていた。
こちらも数多くの品種が並び、注目を集めていた。そして競りはまず金魚から始まり、その後、メダカへと進んでいく。出品魚の周りを囲むように参加者が集まり、仕切り役が声をかけながら競りが進んでいく。符丁で価格が決まるのだが、よどみなく素早く進むかけ声は、聞き逃してしまいそうなくらいの早さで、参加する方々はじっと聞き入りながら手を挙げて指示を出していた。手を上げている人がいる限り、価格は上がっていく。人気品種が終わると、しばしばご祝儀の柏手が聞こえてきていた。
真冬の時期ではあったが、次々と落札されていく様子を見ていると、メダカへの注目度、人気が今年も続いているのだと強く感じられた。